山崎直子のことば

 宇宙飛行士の山崎直子の『何とかなるさ!』を読む。
「何とかなる」は私の口癖でもあったので、興味を持った。

しかし彼女の「何とかなるさ!」は私の口癖とは比べものに
ならない真摯な思いがこもっていた。
「状況を冷静に受け入れ、きっとどこかに『道』はあると、
信じること。そして、今の自分にできることを精一杯やる
ことなのです」 
なるほど。何とかなるは,投げやりでも開き直りでもない。

 山崎さんは、賢い女性だと思った。ほどよい抑制をきか
せながら、自分を語っている。そして、彼女は様々な言葉
に出会い、それを大切にし、考えている。そういう姿勢に
魅力を持った。
 たとえば、彼女が高校の英語教師から紹介してもらったと
いう詩。山崎さんは、家族のこと、訓練のこと、娘さんのこと
気がかりなことが山積みで、自分自身もパンク寸前という時
にこの詩を思い出す。そしてこの詩の言葉に支えられるのだ。

 神よ、
 変えることのできるものについて、
 それを変えるだけの勇気をわれに与えたまえ。
 変えることのできないものについては、
 それを受け入れるだけの冷静さを与えたまえ。
 そして、
 変えることのできるものと、変えることのできないものとを
 識別する知恵を与えたまえ。
            ラインホールド・ニーバー
            大木英夫訳

 あるいは、サン・テクジュベリの『星の王子さま』の中の一節。
「ことばじゃなくて、してくれたことで、あの花を見るべきだった」
 花の言葉を真にうけるべきではなく、花のしてくれたことに
目をむけるべきだったと星の王子さまは後悔するのです。
 山崎さんは夫婦げんかしたときにこの言葉を思い出す。
 言葉ではなく、行動を見るべきなのだと。
 
 これは全くその通りだと私も思う。人は、興奮したり、怒りに
まかせて、つい心にもないことを言って相手を傷つけてしまう
生き物だ。それを知っていながら、私はすぐに相手の言葉に
傷ついてしまうことがよくあった。それは親であってもそうだ。
 しかし、その言葉にくよくよするよりも、その人が自分のため
にしてくれた数々の行動に目を向けた方がいい。その言葉を
いつまでも恨むことはない。

 ほかにも彼女は、出会った人からうけとった言葉に勇気を
もらい、人生につきものの「壁」をのりこえていく。
 宇宙飛行士をしながら子育てするのは、並の苦労ではない
だろうが、「何とかなるさ!」と乗り切っていく楽天性と強さで
のりきっていくのだ。
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by nokogirisou | 2011-01-21 00:00 | 本と図書館
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