『シュガータイム』と『サマータイム』

 小川洋子の初期の長編『シュガータイム』と佐藤多佳子の初期の
短編連作の『サマータイム』を連続して読んだ。こうやって小説を
連続して読めるのは、やはり図書館係職員になったおかげだろう。
やはり図書館に常駐していると、本が身近であり、本の情報に敏感
でいられる。本当にありがたいことだ。
 『シュガータイム』は大学4年の主人公の切なく、奇妙な青春が描か
れる。私の知っている大学時代ととても近く、とても恋しく感じられて
ならない。彼女を悩ませているのが、食べ物に対する執着と過剰な
食欲だ。だからと言って彼女は病的ではなく、それによって不健康
になっているわけではない。しかし彼女は、いくつかの心配ごとを
抱え、それでもきちんと日常を送っている。美しい食料品にあふれる
サンシャイン・マーケットと親友と小さい弟に支えられて。心地よい、
懐かしい青春小説なのに、小川洋子の表現は時として、なまなまし
く私たち読者を突き放す。それが心地よいことがある。
 『サマータイム』はピアノが出てくるので惹かれる。読んだあと、「サマー
タイム」が聞きたくなる。小学生の二人の男の子、進と広一の出会いから
物語は始まる。これもまた不思議な三角関係がある。進の姉の佳奈と
広一と進の微妙な関係。あまり詳しい説明がないところが新鮮で詩的で
想像をかきたててよい。森絵都とどこか似ている。
 二冊連続で読んだことで何かつながるような、新しい世界に出会った
ような、さわやかな思いに浸ることができた。
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by nokogirisou | 2011-05-03 00:12 | 本と図書館
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