「学校図書館の専門性を考える」実践研究シンポジウム

 10月9日八王子クリエイトホールにてあったイベントだ。
 私は探求学習をなんとか授業に取り入れたいと考えて模索してきた。
またこれまで、この会の主催者の一人である桑田てるみさんの講演を聴
いたり、著作を読んで、ぜひ実践の報告を聞きたいと思っていた。
それで、はるばる新潟から出かけて行った。

 午前中は『学校図書館発 育てます!調べる力・考える力』出版講演
で、東京純心女子中学校の司書教諭の遊佐幸枝先生のお話と、遊佐先生
とともに図書館を使って時事問題スピーチの授業を行った田中麻衣先生
のお話だった。
 遊佐先生のプロ意識の高さと徹底ぶりには脱帽だった。健康維持から、
ワークブックの作成まで、プロだった。一人で司書と司書教諭の両方の
仕事をなさっているので、多忙でおられるのだが、彼女のヤングアダルト
の書評、評論はすばらしかった。優れた読み手であられると感じた。
田中先生のお話を聞いて、丸投げ調べ学習がいかにだめか痛感した。田中
先生が、テーマの決め方の重要さに気づかれ、「安易なテーマ設定はさせ
たくない、結論で当たり前のことを言わせたくない、やるなら身になる
ことをやらせたい」とワークシートを工夫されたり、コメントを書いたり
して生徒たちに本格的なスピーチをさせているところが参考になった。

 午後は、実践研究シンポジウムでテーマは「学校図書館の専門性を
考える」であった。司書教諭2名、司書3名のご発表だったが、みなさん
プレゼンが上手で、聞き手を少しも飽きさせないことが見事だと思った。

 慶応普通部の専任司書教諭庭井史絵先生はこれまで「図書館利用指導
・読書指導」の授業を担当されてきた。ところが慶応普通部の最大のイ
ベントの労作展で学校図書館があまり貢献していないのではないかという
点に注目し非利用者をどう指導していくかを考察された。
 その結果「学び方テキスト」を作成し、さまざまな授業にしのばせ、
来館者に積極的なサービスをし、授業での図書館利用を働きかけてお
られるという。

 玉川学園専任司書教諭の伊藤史織先生は中学3年生(9年生)対象に
行っている「学びの技」の紹介をしてくださった。様々なメディアを
駆使してリサーチを行い、情報を吟味し、ポスターセッションを経て
3000字以上の論文を執筆するという本格的な探求学習であった。
複数の教員が担当し、37回の詳細な授業計画のもと実施されている。
メディアグラフィーカードやエビデンスブック、参考文献ノートなど
生徒が論文にまとめるためのツールがとても充実していた。成果は論
文集として刊行されている。

 かえつ有明中・高等学校情報センターの司書の眞田章子先生は
「自ら考え、判断し、表現する」力を養成するサイエンス科の授業
と学校図書館が教科間をつなぐ「ハブ」としての役割を果たしてい
ることを発表された。サイエンスが理科の授業でなく、思考スキル
トレーニングと図書館利用者指導の合わさった、いわゆる総合のよ
うな授業であったことは意外だった。

 田園調布学園中等部・高等部の司書の野村愛子先生は数学科と
図書館とのコラボの成功談をしてくださった。数学教員と司書の
感性が違ったがゆえに、幅広い資料提供ができ、生徒の好奇心を
刺激できたという。しかもその授業で学習した内容は定期考査で
の定着率が80%以上だったという。こういう数値の結果は次の
コラボへの励みとなるだろう。

 唯一の公立高校、埼玉県立新座高校司書の宮崎健太郎さんは、
生徒の読みたい気持ちを刺激する図書館運営から授業支援を重視
した図書館運営にシフトして38時間から144時間へと時数を
増やしていった実践をipadを使った斬新なスライドでプレゼン
をしてくださった。
 家庭環境がさまざまだったり、学習障害を抱えていたり、ハンデ
を抱えている生徒が少なからず在籍しているという。そういう座学
が困難な生徒の多い公立高校で、生徒に配慮し対話を重視した授業
改善に取り組む中で、図書館も存在感を示した。調べ学習をしてポ
スターセッションをする授業を行い、かなり生徒が積極的に授業に
参加し、達成感を得るようになったそうだ。
 宮崎先生は、調べ学習のための汎用ワークシートを作成したり、
教員用の「図書館利用の手引」「図書館通信」を発行したりして
いる。これは私もすぐに実践してみたいと思った。また、授業で
生徒全員が調べ学習をするには、たくさんの資料が必要になる。
それを朝霞地区の図書物流ネットワークや県内高校のISBN目録
公立図書館の団体貸し出しのシステムを活用して、集めている
というところもいいなと思った。

 以上の発表を聴いていて、とにかく待っているだけの図書館では
だめだと思った。自分から工夫し先生や生徒にはたらきかけていか
ないと探求学習はできない。
 また丸投げ「○○について調べなさい」ではだめで、テーマの決め
方、資料の読み方、論証の仕方を教員が教えていかねばならいと
痛感した。今回、それぞれの学校が有効なワークシートやワークブ宇では
ックを作成しているのを知り、私もそういうものを作ってみたいと
思った。ただ生徒にワークシートに記入させるだけではだめで、念入り
なチェックと、個別指導が必要だと思った。

 次の私の課題は、問題提起と論証の部分をいかに生徒に伝えるか
である。

 行って、参加してよかった講演会とシンポジウムだった。
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by nokogirisou | 2011-10-10 01:12 | 本と図書館
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