映画「にんじん」

BSで映画「にんじん」を見た。
 私が子ども時代に最初に母親から買ってもらったと記憶している本がルナールの『にん
じん』だったので思わず見た。もちろん原作にまったく忠実だったわけではないが、フラン
ス映画らしい美しさと哀愁があった。ときおり入るギターの挿入曲がとてもよかった。
 印象的だったのは、おじいさんのところに釣り竿を借りに行くと彼がにんじんに「俺とおま
えは似ている。『みにくいあひるの子』なんだ」というところ。おじいさんもにんじんも孤独だ。
 それから、にんじんが友人に「自分は養子だから母親が冷たくあたるんだ」と相談するの
だが、その話に友人が嫌気をさすところ。友人は一旦はうんざりし、怒って立ち去ろうとす
るのだが、ふと考え直して戻ってきてにんじんに謝る。このシーンはとても美しかった。
わざとらしくなく、しめっぽくなく少年の世界が描かれていた…。
 なぜ母親はにんじんに冷たいのか。まさかあの、鮮やかなな髪の色のためだけにあんな
に差別と意地悪をするとは信じがたい。彼女はにんじんの面倒をみないわけではない。
けれども彼の自由をうばい、彼を他の兄姉のように抱きしめたりしない。にんじんにばかり
不機嫌である。母親は、彼のために自分の自由が奪われたと思いこんでいるのだ。それで
もとにかく母の愛を得たいと願うにんじんの気持ちが痛々しい。
 私もまた母親の顔色ばかりうかがう子どもであったし、ときには母親に本当に愛されてい
ないのではないかと疑う子どもであった。それでも何かあったときには、親は自分のことを
愛しているのだと信じることができた。それはやはり決定的なことだと私は思っている。
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by nokogirisou | 2004-12-14 06:05 | 音楽
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