『楽園のカンヴァス』原田マハ著 新潮社

 一気に読んだ一冊。「この物語は史実に基づいたフクションです」
という「協力」の後に書かれた一文がとても気になった。いったい
どこまでが史実でどこまでがフィクションなのだろう。
もう一つ気になったのは早川織絵とその娘がどうやって心を通わせ
ていくのかというところだ。気配だけ残され、その部分は書かれ
ていない。

 大原美術館、ニューヨーク近代美術館がリアルに登場する。
画家、画商、コレクター、研究者、キュレーター、監視員、観客。
一つの絵をめぐってさまざまな立場の人たちの存在意義を考えさせ
られた。そして、絵画にうっとりさせられ、自分の人生を画家に差
し出そうとしたり、「永遠の人生」を生きようとしたりする人たち
の幸福感を想像した。

この物語には3つの時が流れている。
2000年の倉敷の時間と
1983年のバーゼルを中心にした時間
そして、ヤドヴィガ・バイラ-が書いたとされるルソーの物語の時間。
ここにはルソーの生きたパリの様子とルソーの生活がいきいきと再現
されている。
これらが巧みに絡み合って進んでいく。

 ルソーの作品は美術の教科書にも掲載されていたし、「日曜画家」
などと言われていた点も含めて、気になる画家であった。
巧みな取材と、構成により、私はルソーについてもっと知りたくなった。
表現する人たちのエネルギーを感じたくなった。
そして何より、美術館に行きたくなった。
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by nokogirisou | 2012-09-17 17:10 | 本と図書館
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