学校図書館教育研究会2012年度大会

 10月21日(日)学校図書館教育研究会2012年度大会のテーマは
「示そう!公立学校図書館のチ・カ・ラ」であった。「公立学校」の言葉
にひかれてこの大会に参加した。
 午前は、まず八洲学園大学教授の高鷲忠美先生の基調講演「学校図書館は
学校教育のインフラ」を拝聴する。
 まずはトロント大学の図書館の様子に圧倒される。海外では図書館が
学びの中心にあり、大変重視されている。学生は読書リストが渡され沢山
の本を読むことが要求されている。大学図書館は大学の心臓になっている。
 一方日本はどうだろうか。
 学校図書館も学校の心臓であるべきである。生涯学習者を育てるために
子どもたちに読書習慣を身につけさせ、調べ学習のスキルを身につけさせる
必要があると強調された。
 この実践を行っている学校として、鶴岡の朝陽第一小学校、松江の揖屋
小学校の様子が紹介された。繰り返し図書館を使った授業を行うことで
確実に生涯学習者を育てているという印象を受けた。
 次は、松江市教育委員会学校教育課指導研修係学校図書館支援センター
支援スタッフの原田由紀子さんの発表を聞いた。行政の「支援する」とい
う立場が何をすべきか、何ができるかがよくわかった。また予算をとるに
はどうしたらよいのか、説得力のある話は参考になった。
 午後は、公立学校で地道に授業で図書館を使っている実践例が紹介された。
それぞれ司書と教員が理想的な協働を行っているのがわかる。
 最初の実践報告。国分寺市立第九小学校の司書と教師による「はじめての
協働~4年総合『障害者を知ろう』の発表だった。約1年、20時間をかけ
た調べ学習の実践報告だった。4年生にもかかわらず、テーマ決めと探究方針
を決めるところでしっかりワークシートを活用していた。それに比べると、
調べたところをまとめる部分がやや弱い気がした。せっかく沢山調べたことが、
少ない言葉でパンフレット形式にまとめて終わってしまっているのがちょっと
残念な印象を受けた。

 次は、自習室だった図書館を地道な努力で居心地のよい図書館にし、様々な
PRを駆使し、生徒の意識の大きな部分を占めている部活動、学校行事、進学の
準備のサポートができる図書館へと変えた都立高校司書の千田つばささんの
実践発表だった。自習室を脱却し、少しずつレポート作成のレファレンスやブ
ックトーク、テーマの決め方・まとめ方のガイダンスなど授業に関わっていく
ようになった。特徴的だったのは、図書館の仕事を可視化する努力をしてい
るところだ。先生方に図書館ができることをアピールし、図書館利用を促して
いる努力を感じた。これは、これまで私立学校の図書館がすでにたどってきた
道のりだという。どうしても公立は私立を追いかける形になるが、これからは
公立高校も図書館を使って本格的に授業を行えるように、教員が力をつけていか
ねばならないのではないか。

 最後は、国語の教師と司書が協働し、国語の授業を通して「3年間で学校図書
館を使いこなせる子」を育てる、学芸大学附属世田谷中学校の実践発表だった。
ここの特徴は、とにかく学校図書館がいつも生徒であふれ、にぎやかだという
ことだ。3年間、学習の場として図書館が使われている強みを感じた。学校図書
館が生徒にも教師にも信頼されている。
学校図書館が持つ教育力は、
1)「読書」の持つ教育力
2)資料コレクションが持つ教育力
3)図書館専門スタッフの助力が備える教育力
だという。これを信じ、実践を重ねていくことで学校図書館を使いこなせる生徒
が生まれる。一度この力をつけた生徒は、大学に行ってからも力を発揮する。

 充実の大会であった。「公立学校だから無理」は通用しない。
まずは、地道な積み重ねから。生徒と教員を図書館に呼び込む努力から始めたい。
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by nokogirisou | 2012-10-23 00:25 | 本と図書館
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