『図書館戦争』をレイトショーで観る

 すっかりレイトショーが気に入ってしまい、今日もひとりで
夜の映画館。佐藤信介監督の『図書館戦争』を観た。
 観ようと思ったきっかけの一つは、新潟県十日町市の図書館
である十日町情報館が撮影に使われたことだ。この図書館は、
中越地震のときに、かなりの被害を受けたはずだ。その図書館の
閲覧室が、撮影に使われていたことは嬉しかった。舞台となる
武蔵野第一図書館は、十日町情報館だけでなく、水戸市立西部
図書館、北九州市立中央図書館、山梨県立図書館でロケをして
いる。こんなに複数の図書館でロケをしながら、一つの図書館
に感じさせるところは見事だ。

 ずいぶん話題になった作品だが、私が原作を読んだのは今年に
入ってからである。有川浩の小説は読み始めるととまらない。
「図書館の自由」で始まるが、事件は連発するし、堂上と笠原の
関係が気になる甘甘の恋愛小説でもある。岡田准一と榮倉奈々が
どう演じるか気になった。予想以上に岡田のアクションはすばら
しかった。笠原郁の未熟ぶりも榮倉によって魅力的に表現されて
いた…。

 しかし、今回の映画のテーマは私にとってはずいぶん重かった。
映画は、原作のわかりにくい部分をわかりやすくもするし、リアリ
ティを倍増させもする。図書館が自衛組織を持つなどあり得ない話
なのだが、ありそうに感じさせてしまうところが怖い。あくまで、
「守る」ため、図書館の敷地内だけで、闘うことが許されているが、
そういう制限の中にありながらハードな戦闘が繰り広げられる。映
像で、生々しいタスクフォースの訓練や、実弾線、戦闘シーンを観
ると、原作を読んだ時以上にいろいろと考えさせられてしまった。
 表現の自由を守られない世の中はおそろしい。メディアが国家によ
って規制されることの恐怖を感じる。

私が最も印象に残った台詞は「日野の悪夢」で亡くなった稲嶺館長の
遺志を継ぐ、原作にはいない仁科司令の言葉だ。 

 メディア良化法に踊らされ、検閲と戦闘が続く世の中を嘆き「どう
してこんな世の中になってしまったんでしょう」という笠原に対して、
仁科司令は
 「無関心です。自分には直接関係ないという…」
と答える。
 また仁科司令は、本を役割を理解し、本を守ることに命をかけるの
だが自分が大事に守ってきた本を、メディア良化法に賛同する団体メ
ンバーに火をつけられたときは、冷静に「本は本です」と燃えていく
様子を静かに見守るのだ。

 たかが本。されど本。
 (もちろん「メディア」は本だけではないのだが。)
 表現の自由、図書館の自由という当たり前に思っていることを
意識して行使していかないと、いつか失ってしまう。そして、血を
流してまもらなければならないものになってしまうのだ。
 背中に寒気が走る。
 
 
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by nokogirisou | 2013-05-05 01:59 | 映画
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