本の絵を描くしごと

 アニマシオン読書教育セミナーの講演会で、童画家のさとうあやさんの講演を
聴きにいった。
さとうさんは『ネコのタクシー』(福音館書店)『バレエをおどりたかった馬』
(福音館書店)の挿絵を描いている。どちらの絵も「へたうま」だなと思いながら
好感を抱いていた。

 正直に言えば、聞くまではそれほどお話の内容にあまり期待していなかった。
しかし、聴いているうちに引き付けられた。それは彼女が芸術家の目とプロ意識
をもっていたからだ。おっとりとした雰囲気なのに、自分の好きなこと、自分の
スタイルをとことん追求する姿勢はかっこよかった。

 彼女は、運命的に福音館の編集者に出会い、編集者に送った年賀状の絵を
きっかけに子どもの本の挿絵や絵本の絵を描くようになったそうだ。
 彼女は子どものときから油絵を描く父親に見守られながら、のびのびと絵
を描き続けてきたという。床に模造紙をしいて常に絵を描いていたそうだ。
絵画教室にも通い、『キンダーーブック』を定期購読する子どもだった。
絵だけでなく、詩や文章を書くのも好きだったという。彼女は子どものとき
に好きだった絵本をはっきり記憶していた。自分は大人になったら漠然と絵
を描く人になるのだろうなと信じていたという。

 子どもの本の絵を描く過程は想像以上に複雑だった。まず作品のどの部分に
挿絵を描くのか決める。決めるのは編集者でなく、作品本文を読みこんだ
さとうさんだ。本文を読むと、すでに映像としてイメージが浮かぶのだそう
だが、その中からどこを描いたら一番楽しいかを考え、場面を選ぶ。それから
ラフスケッチを何度も描く。
 イメージをつかむために海外に取材に行くこともある。フランス田舎の村
滞在のお話は印象深かった。
 『セロ弾きのゴーシュ』の絵のときは、編集者と作品追究し、一度書き上
げたものを描き直すという作業があったそうだ。編集者の仕事の偉大さについ
ても語ってくださった。
 
 さとうさんが好きな画家は長新太さんだという。その自由さと、普遍的な
世界観に惹かれるのだそうだ。彼女自身の絵もまた、普遍性を感じさせる。
書き込みすぎない。リアリティを求めすぎない。緩い。わざとすきまをつくっ
ている。自分の描きたいものに忠実だ感じる。
 
 
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by nokogirisou | 2014-06-09 02:49 | 本と図書館
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