学校図書館悲観論

 学校図書館をめぐる歴史は長い。私たちは、長い時間をかけ
て明るくて、本がたくさんあって、司書がいて、本を読むのが
大好きな子どもたちがたくさんいる図書館をめざし、それらを
手に入れてきたつもりだった。
 しかし、今、このままでは学校図書館は消えてゆくだろう。
少なくとも、地方の高校の図書館は、何か別の場所になってし
まうのではないかという危機感と恐怖感を抱いている。

 理由の一つ目。今は電子書籍、ICT教育の時代だから、
紙の本にこだわった図書館の利用価値はないと考える人が
増えているからだ。
(しかし本当にそうだろうか。家庭で紙の本に接する生徒
たちが少なくなるのだったら、なおさら紙の本を読めたり
紙の参考図書で調べ学習ができる図書館は貴重になると思
うのだが)ICT化やデジタル化に追い付かない学校図書
館は取り残されるだろうと言われている。

 理由の二つ目。上記の問題とも関連するのだが、活発に
利用されていない学校図書館が多いからだ。中高生の図書
館での貸し出し冊数は減っている。7割8割の中高校生が
借りていないというデータもある。スマホやタブレットや
ゲームに費やす時間が長く、紙の本を借りて本を読む時間
がないのかもしれないし、教員が学校図書館を使いこなせ
ていないのかもしれない。図書館は自習室と化して、読書
の場、探究学習の場となりえていない。学校図書館を活用
しているのはほんの一部の教員と司書のようだ。
 「本なんか読まなくても生きていける」という教員もいる。
しかし、現状よりよりよい生き方、より豊かな人生を目指すの
が教育現場ではないのか。そして書物を読める人に育てていく
のがそもそもの学校の使命ではなかったのか。
 このように少数の読書好きの教師と生徒しか利用しない図書
館には今後予算は回せないだろうと言われている。予算がつか
ない、魅力的な資料を集められない、なおさら人が寄ってこな
いという悪循環が予想される。

 そして、読書のできない高校生が確実に増えているという。
一冊まるごと本を読んだことがないと豪語する生徒たちの
なんと多いことか。集中的ない、読んでも理解できない生徒
たちも増えている。こういう生徒たちが、タブレットや電子
書籍の文章なら読めるのだろうか。私はとてもそうは思えな
いのだが。

 小学校では、図書館を活用した授業が多い。本を読むのが
好きな児童も多いという。それなのに、彼ら彼女らはいつの
間に読めなくなってしまうのか。読まなくなってしまうのか。
絵本から読みものへ、そして小説、さまざまなジャンルの本
への移行がうまくいっていないのではないか。

 私は、学校図書館にしがみつくつもりはない。初めに図書館
ありきでもないと思っているが、たくさんの資料を苦労して
探したり、読んだり考えたりしない学校に、未来は見いだせ
ないのだ。学校図書館や紙の本を安易に無駄だ・不要だ・時代
遅れだと口にする人に図書館に替わる知的成長の場を提供でき
るとは信じられないのだ。

 今日は、本当は高校の学校図書館に携わる人たちの前向きな
会議のはずだったが、学校図書館に対するネガティブな意見を
ずっと聞きながら、本当に滅入ってしまった。

 
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by nokogirisou | 2014-07-01 21:45 | 本と図書館
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