『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』 

 緻密に構築されていて、想像力をかきたてる作品。キーワードは
「ペーパークリップ」「心」
「世界の終わり」の物語と計算士の僕の物語がパラレルワールドの
ように交互に描かれる。

 小説の本筋からはずれるかもしれないが、ハードボイルド・ワンダー
ランドで僕と太った若い娘が交わす次の会話が印象に残っている。
いや、これは本筋につながる会話なのかもしれない。

「この世界では誰もひとりぼっちになることなんてできない。みんな
どこかですこしずつつながってるんだ。雨も降るし、鳥も鳴く。腹も
切られるし、暗闇の中で女の子とキスすることもある。」

「でも愛というものがなければ、世界は存在しないのと同じよ。」と太
った女の子は言った。「愛がなければ、そんな世界は窓の外をとおり
すぎていく風と同じよ。手を触れることもできなければ、匂いをかぐこと
もできないのよ。どれだけ沢山の女の子をお金で買っても、どれだけ
沢山のゆきずりの女の子と寝ても、そんなのは本当のことじゃないわ。
誰もしっかりとあなたの体を抱きしめてはくれないわ」 (上巻 19)

この世の中には、「過剰」でバランスの悪い人間と、ものごとを上手に
やりすごせるバランスのよい人間がいるのだと思う。
過剰に求めすぎると傷つくとわかっているから、(諦観のきわみ?)
淡々と目の前のものを受け入れていく人もいる。
 
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by nokogirisou | 2005-08-09 01:27 | 本と図書館
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