学図研2015全国大会埼玉大会の個人的な報告

iいまさらながら、8月はじめに開催された学図研全国大会 
埼玉大会(in熊谷)の個人的な報告
                   
1 竹内 悊 先生の講演
 最初の「図書館ロケット」のDVD上映には驚いた。
2013年のNHK「みんなのうた」に登場した歌だ。畑亜貴さん
の作詞作曲だそうで、アニメの斬新さもあって目と耳が釘付けに
なった。なんとこの歌は2013年の10月24日のカレントアウェア
ネスですでに取り上げられていて(http://current.ndl.go.jp/e1491)
畑さんはインタビューに答えて「戦争という悲劇を繰り返さずに
済むように,歴史を紐解いて皆で手を取り合って生きて行こう。
というメッセージを折り込みました」と答えている。
竹内先生は学校図書館の可能性を私たちに託されたのだろうか。
竹内先生の仕事のスタートは学校図書館だったという。これは
意外だった。男子校で司書をされていたそうだ。
 それからランガナタンの「学校図書館の五法則」について
くわしく語っていただいた。「図書館は成長する有機体である」
という言葉に私はいつも勇気をもらう。
今回たくさんお話していただいた中で特に印象に残っているの
は、図書館は一人の利用者、一人の生徒に対するサービスを忘れ
ないという精神だ。それから自己研修の話だ。研修で学んだこと
は抜け落ちていくので、たえず、復習し、学び続けることが必要
だといわれていた。また竹内先生の恩師のショアーズ博士の言葉
は印象深い。
  ①まず自分の一日を顧みる。何もしていない15分はないか。
  ②読みたい本と、読む場所とを決める。
  ③その時間に、きっかり15分その本を読む。
  ④それを毎日続ける。1年続けるとそれだけで20冊の本が
   読める。

 2 ナイターB「読む」ってどういうこと 島根県担当
ある司書が、ある教育委員会の指導主事に「本なんて読む意味
あるのかね」といわれたという。こういうことは、実はよくある。
最近冗談でなく、真面目に「読書は生徒のためになるのか?」と
聞いてくる教員も多い。
 それを受けて、私たち学校図書館に関わる大人は、どう答えた
らよいか、どう説明したらよいかをグループに分かれて話し合っ
た。 
 まずはそれぞれの体験から各自の「読む」ことに対する思いを
語りあった。それから、それらをまとめて、どういう言葉にした
ら、説得できるかを考えた。教育員会の人たちを納得させるには、
やはり具体的な力や成果となって表れる部分をアピールしなけれ
ばならないだろうという結論になり「自分で考える力がつく」
「コミュニケーション力を高める」「生き抜く力がつく」等の、
やや抽象的な言葉にまとめられた。しかし、それらの言葉の背後
には、それぞれ具体的なエピソードがちゃんとある。ある高校司書
が語ってくれたエピソードは印象深い。無気力だった男子生徒が、
ひょんなことから本を読むようになった。それで自信を持つよう
になり、その後の生き方が変わったというのだ。そういう実例は
みんなが持っているにちがいない。
 最後にグループごとに話し合った内容を発表し、「本を読むと
は〇〇」というキャッチフレーズを紙に書いてホワイトボードに
貼りだして交流した。
3 実践報告
 東京都杉並区の横山寿美代さんの報告はパワフルだった。彼女
には様々な研修会でよくお会いするし、学校図書館プロジェクト
SLiiicの活動でも有名である。
 その彼女の実践例は様々なヒントと可能性に満ちていた。スタ
ートはPTA役員、図書館ボランティアだというのも驚きだった。
現在公立小学校の非常勤の司書である彼女が失敗を語るという
コンセプトだったが、どれもいいお話で失敗には入いらないと思
った。しかし注意すべき点をたくさん示唆してもらった。
「好きだからと言って図書館の仕事をやりすぎないこと。一人で
はなくて、コミュニケーションをとりながら進めること」
これは肝に銘じた。 

もう一人の実践発表は、小林聖心女子学院の山本敬子さん。
彼女は昨年度まで甲南高校中学校の司書だった。甲南といえば
潤沢な予算とたくさんのパソコン、図書館授業時間が年間700時間
を超えることで有名だ。今回特に、レポート提出までにいくつもの
不安や困難を抱える生徒たちに、どのようにアプローチしたかを中
心に語ってくれた。とにかく甲南は学校体制がすごい。学校図書館
のイベントも多いし、学びの中心に図書館があるという印象を受けた。

4 分科会 1「どう実感してもらう?学校図書館の教育力」兵庫県担当
事前に『教育を変える学校図書館』(塩見昇編著2006 風間書房)
の第一章を読んでくるという宿題があった。これがためになった。
 私が関心を持っていたのは「学校図書の教育力」7項目中7番目の
「学び方、学ぶ力(リテラシー)を身に付けた生涯学習者の育成」
だった。これをどう意識して学校図書館運営に生かしていったらよい
のか日々考えている。
 分科会の前半は箕面市立第3中学校の田中瑞穂さんの実践レポート
だった。箕面市の学校司書は任期付き短時間勤務職員で一日実働7時
間45分、週31時間。研修は保障されている。「学校図書館の教育力」
に照らし合わせて、生徒と教職員を観察し、図書館の授業利用を進め、
図書館事情を目に見える形で職員、生徒、保護者に見える形で提示し
ていた。
 後半は「こんなとき、どうする?」というミニシアターだった。
現場でちょっと困った場面を寸劇で紹介してもらい、どう対応すれば
よかったかを班で考えるワークショップだ。これがとてもおもしろか
った。「教員に生徒の貸し出し情報を聞かれたときどうしたらよいか」
「授業で利用したい本が学校図書館になかったので司書が『市立図書館
から借りてきますよ』と提案したら、『悪いわ』と教員に断われた。
そのときどうしたらいいか」
等、日常よくありそうなケースを想定して、どう対応したらよいかを
グループで話し合った。様々な立場の方と同じグループで、話し合いは
大変盛り上がった。

5 まとめ
 学図研の楽しさは関係性にある。様々な知人とここで再会できるのも
楽しいし、新しい出会いがあるのもわくわくする。 合宿のような和気藹々
とした雰囲気も好きだ。
 学校図書館は常に進化していて、必ず学ぶことがある。毎年お土産が
たくさんだ。その持ち帰ったものを現場にどう生かすか。これが実はしん
どい。頭でっかちで、なかなか実践がともなわない。大いに反省する。
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by nokogirisou | 2015-09-26 12:38 | 本と図書館
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