「憂国」再読

 探せばなんとかなるものである。劣悪画像の「憂国」を見る機会を
得た。それにさきだって、原作を再読。 
 三島はどうして、こんなにリアルに知っているのだろうと。
切腹と死の瞬間をどうしてこんな風に再現できるのかと。
 これは用意周到な完結された世界だ。あまりに非現実的
な世界なのに、おそろしいほどのリアリティと美しさを持って
描く三島とは何者なのか。
 三島はやはりすごい作家だと思う。
 ほかのどの作家とも一線を画す表現美にぞくぞくする。

 しかし麗子のような存在は、当時現実的だったのだろうか。私には
わからない。究極に美化されているところが、あまりに完璧すぎて
圧倒される。

 …で映像をみた。
 能舞台をおもわせるようなセット。「至誠」の大きなかけじく。
 台詞はないが、ワグナーの音楽がすべてを語る。
 しかし、ここには三島がことばで表現した美はなかった。
 優劣ではない。
 全く別物なのだ。映画と小説の世界は。
 
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by nokogirisou | 2005-08-24 05:28 | 本と図書館
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