中島みゆき デビュー30周年

 9月2日の新潟の朝日新聞をめくっていたら
「中島みゆきデビュー30周年 歌に宿る「誕生」の思考 ハンナ・アーレントと共鳴」
という記事が出ていた。(大阪本社では8月27日の記事だったらしい)
  
 



大阪府立大学助教授で詩人の細見和之氏が中島みゆきのデビュー30周年に寄
せて、女性政治思想家ハンナ・アーレントとの共通点を論じているのだが、かなり乱暴
な論のように思った。「誕生」ってそういう歌だったのか…。中島みゆきの歌がただ単に
恋の歌にとどまらないこと、社会的関心に裏打ちされていることは否定しないが『世情』
や『with』を具体的な現実の社会事象と重ねて読むことには強い違和感をおぼえた。
歌をそれぞれがいろいろな解釈や受け止め方をするのは自由だが、「新聞」というメディ
アで自分の強引な解釈を実証もなく書きつづるのは、中島の世界を限定してしまうようで
残念に思う。

 中島は世の中の評論家になることをもっとも避けたいと思っているシンガーではなか
ったか。そしてむずかしい言葉であれこれこねくりまわすことの無意味と無念さを
常に歌うシンガーではなかったか。

「むずかしいことばは自分を守ったかい?」

けれども中島は、細見氏を許すだろう。
中島はこう書いている
  「一つの言葉を聞くに至るまでの、或る他者の人生を、言葉を発する側がすべからく
  把握していることなど、有り得ない。逆の立場に於いても同様だ。
  言葉を使うということは、だから、深い孤独を確認してしまう作業に近い。」

そうはいってもこうも書いている。
  「しかしそれでも、時には自分の些細な思い入れと、通りがかりの誰かの解釈とが
  偶然少し似ている瞬間でもあるならば、やはり理屈抜きでうれしいのだから、これで
  なかなか孤独というのも愚かなヤツである」
        「言葉と孤独」    『中島みゆき全歌集Ⅱ』所収
   
 
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by nokogirisou | 2005-09-04 03:33 | 音楽
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