村上春樹が語る 上 朝日新聞10月4日付記事

 一日遅れた朝刊を翌朝、その日の朝刊が到着する前にじっくり読む
習慣が私にはある。何か見つけそうな予感で果たしてであった記事。
タイトルは「意識の奥のトンネル 行き来し紡ぐ物語」
 村上春樹は「団塊の世代」56歳である。しかし子どもがいないので
年をとる実感がないという。しかし気持ちは年相応と認めながら、「肉体
を鍛えて、自分を少しでも強く、きちんと保っていきたい」という。
 彼の持論は「ものを書くのは肉体労働」。意識の通路をくぐるには
「体力、集中力、持続力」が必要だ。同じようなことは大江健三郎も以前
言っていた。大江の場合は毎日水泳。村上は走る。今でもフルマラソン
に出ている。作家の真面目さに圧倒されることがある。それに比べて読者
の自分はなんと自堕落で不健康な生活を送っていることか…。
 
 今回のインタビュー記事を読んでいての収穫は次の言葉である。
「僕自身は性的人間でも暴力的人間でもない。書いているときは書きにく
いし、苦痛です。でもこれを書かないと、意識をこじ開けられない。物語を
大きく動かして違う場所に抜けたいときには、時としてそのようなシーンを
出さざるを得ない」

 この言葉を読んで、そういうことだったのかと私はえらく納得できた。
村上の描く「性」と「暴力」は不思議なことに私にとっては不快でも不可解
でもなかった。むしろのめりこんでいくような推進力を感じた。
彼自身があえて苦痛を味わいながら、書くということにものすごい(「すごい」
は使いたくないがこれ以外思いつかない)興味を懐いた。

 長編小説は「待っているのが仕事」だという。翻訳をしながら、ひたすら
待つ。
[PR]
by nokogirisou | 2005-10-05 04:51 | 本と図書館
<< 村上春樹が語る  下 朝日新聞... リーマン予想 >>