横山幸雄のコンチェルト

7月3日(日)東京交響楽団第96回新潟定期演奏会に行ってきた。
若手の川瀬賢太郎の指揮、グレブ・ニキティンがコンサートマスター
ピアノ独奏は横山幸雄。
今回のプログラムは、
1 リスト ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調 
2 ショパンピアノ協奏曲第1番 ホ短調
3 ラフマニノフ ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調

というオールピアノコンチェルト。こんなプログラムは初めてである。
大曲3曲を横山幸雄がすべて暗譜で挑む。

リストの第1楽章は緊張した。しかし2楽章で安心した。クアジ・アダージョ
のしずかでゆるやかな雰囲気の中でピアノのカデンツァ的なパッセージ
がとても美しい。
とぎれることなくよくわからないうちに第3楽章にうつり、そのまま4楽章へ。
今まで出てきた主題が再現されて、4楽章だということがわかる。
ここのピアノのもりあがりはすばらしかった。おさえるべき音をしっかり
濁らず、くっきり弾くところが心地よい。演奏後ピアニストはすでに汗だく
だった。

ショパンのコンチェルトはとても落ち着いて聴けた。ずいぶん弾きこんで
いることがよくわかる。とても安定した指の動きと音色が心地よかった。
オーケストラの冒頭部分が美しくききほれるが、その後のピアノの主題
の再現にもうっとりする。第2楽章のピアノと弦楽器やファゴットとのかけあい
が、とても見事だった。

休憩中にピアノの調律が行われる。『鋼と羊の森』の影響で調律の様子も
じっと見てしまう。スタンウエイのピアノは美しい。

休憩後、ピアニストは衣装を変えて現れる。いよいよ大曲ラフマニノフの
コンチェルト2番。静かに自然に演奏が始まり、一気にラフマニノフの世界になる。
最初のところでちょっとだけミスタッチが気になったが、少しも動じることなく、
それどころがどんどん調子を上げていく。汗をふきながら、少しもペースを乱す
ことなくラフマニノフの世界を完成させていく。オーケストラとの息も合って一体感
を感じる。最後のクライマックスが本当にすばらしく、終了と同時にブラボーが
叫ばれる。スタンディングオベーションをする方もいた。
 
 一曲ごとにどれほど汗をかいていることだろう。ピアニストと指揮者の集中力
がすばらしかった。曲全体の把握力と分析力がすごい。聴いている方はかなり
興奮した。興奮が冷めない演奏会であった。
 ピアノはうまいだけではだめで、聴く者を感動させるには別の要素があるよう
に思う。私たちはなぜ演奏に感動をするのだろう。少なくとも真摯に音楽にむき
合う姿には引き込まれる。横山幸雄は経験も豊富で貫禄もあり、欲張りなくらい
さまざまな活動もしており、初々しさのある世代ではないが、音楽に向かうときに
は、常に全身全霊で立ち向かい、努力を惜しまない人なのだろうと思う。プロ意識
の強い演奏家なのだろうと思う。
 私は生で音楽をきくときに、今の音がでるまでのはるかな練習時間を想像して
しまう。
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by nokogirisou | 2016-07-04 22:22 | 音楽
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