『プーさんの鼻』俵万智

 
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 俵万智の最新歌集。予想通り、出産と子育ての中で生まれた歌に
あふれていた。

 生きるとは手をのばすこと幼子の指がプーさんの鼻をつかめり

 俵のデビューから、彼女をずっと見つめてきたような気がする。
『サラダ記念日』が平積みだった頃のことが、とても鮮明に思い出される。
彼女が橋本高校を退職した日のことも。
著書はほとんど買って読んだ。ミーハーなことに彼女の講演会や
朗読会にも足を運んだ時代もある。




彼女のさまざまな体験、恵まれた環境に、身の程しらずにも嫉妬し
たことがあった。
 私は彼女に対してはけっこう口うるさい読者だったかもしれない。
 
 その彼女が40歳をすぎて、母として生きることを選択した。
 「やはりそうか。」と思った。そうなることをどこかで私は予感していた。

 子どもが生まれると母親は詩人になる。
 次から次へとことばが湧いてくる。歌を作らずにはおれなくなる。

 恋のうたも健在だった。
 
 通り雨のような口づけ もっとちゃんと恋をしてからすればよかった

 言葉ではなくて事実を重ねゆくずるさを君と分かち合う春

 彼女の生き方も自分の生き方もそれぞれに認められるくらい
 私は年をとったのかもしれない。
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by nokogirisou | 2005-11-05 01:19 | 本と図書館
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