吉行淳之介のこと

 
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 宮城まり子の『淳之介さんのこと』を読む。
この2人の出会いと恋の激しさに小説を読んでいるとき以上
にどきどきする。美しいのはやはり出会いの頃だ。
互いに近づいていくときの物語が私は好きだ。
そして2人は公然の恋人としてくらす。全身全霊をこめて
宮城は淳之介を愛し、尽くしている。ここまでよく思えるものだ。
宮城まり子という人は魅力的な人だったのだろうけれど、
ずっと一緒にいて、淳之介は疲れなかっただろうかとふと思
ったりする。しかし男と女のことは他人にはわからないのだ。
この本を読んでいると、吉行淳之介の作品を読みたくなって
くる。
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 ところが…吉行の本を探しに入った書店で
『「暗室」のなかの吉行淳之介―通う男と待つ女が織り成す極上
の人生機微と二人の真実』という本をみつけた。思わず立ち読み。
大塚英子という28年間影の恋人だったという文壇バーの女性の
手記である。著者は『暗室』のモデルになったという女性だという。
しかしこれはショックだった。
 宮城まり子の『淳之介さんのこと』が表だとするとこの本は裏で
ある。影の存在だった人物が、こうやって表に出てきてしまって
よいのだろうか。吉行淳之介も藪の中である。いったいどれが本当
の淳之介なのか。おそらくどちらも吉行淳之介なのだろう。どちらの
女性をも愛し、ときにはどちらの女性をもうっとおしく思ったのだろう。
 
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by nokogirisou | 2006-02-18 11:38 | 本と図書館
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