『外科医有森冴子ー命の時間ー』井沢満

 もうだいぶ前になるが、三田佳子主演の「外科医有森冴子」という番組
がとても好きだった。有森冴子は博多出身の40歳半ばの離婚歴のある
敏腕外科医。脚本家の井沢満が、冴子のエピソードを小説にしたのが本
書である。平成4年初版とあるから、この本が出たのはもうすでに14年も
前ということになる。書棚のこやしとなっていたのだが、ふと読みたくなり
ページをめくると、自分の昔の字でメモが挟まっていた。

 「プロっていうのは、苦しみ続ける能力を持った人のことね、こんなもん
だって仕事にタカをくくった時、その人はおしまいなのよ」

 これはドラマの中での冴子の台詞なのだったように記憶する。苦しみ続け
ることが能力なのだろうかと当時は不思議に思っていたが、今はちょっとだ
け理解できる。苦しみ続けるということは、その間に喜びの知っているという
ことだ。そうでなければ、続けられない。真剣に苦しむこともできない。
 
 再読してみて、新鮮だった。所謂闘病物のお涙は無用。
 さばさばとして、そして深いところをぐっとつかむ冴子の生き方に共感する。
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by nokogirisou | 2006-03-11 04:48 | 本と図書館
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