『モモ』 ミヒャエル・エンデ

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 毎日忙しい。本当に疲れ切っている。こんなに時間に追われて
いてよいのだろうか。そんな中で「モモ」を読む。予想に反して理屈
っぽくなく、すてきな物語だった。
 なにもかも、不思議なのだが、それがとても心地よかった。
 モモは 円形劇場の廃墟に一人で住んでいる。彼女は人の話をた
だただ聴く。すると語った人たちは、満足し悩みが解消していく。彼
女はたくさんの友達を得ていくのだが、モモの一番の友達はそうじ夫
のベッポと観光案内人のジジだった。年齢も境遇も性格も違うこの3人。
モモはこの2人と一緒にいるととても幸せだった。こういう友情ってすて
きだなと思う。
 そこに登場するのが、「灰色の男たち」である。彼らは人間に「時間」
を倹約させるようにせまり、世界中のゆとりの「時間」を独占していく。
それまでにあふれていた、とりとめのないお喋りや、ゆとりのある生活
がだんだん失われていってしまう。 ここら辺になるとおもいあたるもの
を感じる。私たちは時間を貯蓄して、本当に豊かになれるのだろうか?
 モモはマイスター・ホラの示唆と、カメのカシオペイアの助けを受けて
大切な人間の時間を取り戻す冒険?に出て行く。後半はテンポはやく
一気に読めるが、私たちは、時間どろほうから時間を取り戻せるのだろ
かと、と考えこんでしまう。ますます、時間貯蓄が進むばかり。寸暇を
惜しんで、仕事せよ、勉強せよと迫られている。忙しいことが美徳で有能
のように思われている。
 私たちの心の中に灰色の男たちが住んでいるように思えてならない。
そいつらを知らないうちに飼い慣らしているのだ。おそろしいことだ。
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by nokogirisou | 2006-04-19 23:14 | 本と図書館
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