ピアニスト横山幸雄

 音楽家の生活や考えていることにとても興味がある。
音楽家たちの書くエッセイにはついつい手が伸びてしまう。
ややミーハーだと思いながらも、横山幸雄というピアニスト
についてもっと知りたいと思ってしまった。もう10年前に出た
1996年初版の『いまピアニスト』を読む。




 気付いたときにはピアノがあった…気付いたときには家にたくさん
のレコードがあった…横山幸雄はそういう恵まれた環境に育ったよう
だ。
 芸大付属高校に入学後、フランスに留学。パリ国立高等音楽
院に入学する。そして、なんと彼の師匠はジャック・ルビエだった。
ルビエのドビュッシーやラベルの演奏はよくFMで聴いたものである。
私の中で、何かがつながった。私はどうしても横山幸雄のドビュッシ
ーを聴いてみたくなった。
 さて、留学とは何か。彼は、歴史的背景を含めて、西洋文化全体を
学ぶことだという。そしてそれをいかに自分の演奏に反映させることが
できるかが重要なポイントだという。
 おもしろいのは、彼がミケランジェリの練習を壁ごしに聴いて興奮して
いるくだりだった。横山は、パリでいろいろな人たちの様子を本当に
よく観察している。そして、よく歩いてパリを観察していた。彼は留学を
十分楽しみ、満喫していたことがわかる。

 そして、やはりショパンコンクールの舞台裏に関する記述はとても
興味深かった。読みながら緊張してくる。横山幸雄は、選曲もコンクール
に向かう姿勢も筋が通っている。自分を信じていることが伝わってくる。
「どんなに長く待たされても、発表というのは一瞬の出来事であり、また
一度そうと決まったものがくつがえることもない。」
これは真実だと思う。まったく同感だ。
 かなり客観的に、自分もほかの参加者のことも観察している。「緊張」と
の闘いが、とても生々しく描かれていた。
 この本全体を貫くのは、プロ意識の強さだろう。何かに迎合することなく
自分自身を磨き上げていこうとする人の強さ。
 この人は頭のよい人なのだと私は感じた。
 ところで、自分は、いったい何に向かっているのだろう。何を磨こうとして
いるのだろう。あまりに漫然と流されて生きていはいないか。精進が足りない
のではないか…と思ってしまった。
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by nokogirisou | 2006-07-23 21:01 | 本と図書館
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