『先生はえらい』内田樹

 ちくまプリマー新書002
 タイトルは妙なのですが、なかなかおもしろい本です。
教師論の本ではありません。むしろ恋愛論、コミュニケーション論
かな。あるいは「学びの本質」についての本といったらよいのか。
今世の中は、どんどんシステマティックになっていて、効率よく
わかりやすいことがよいことのようになっている気がします。でも
なんだかちがうのではないか…という気持ちが私には漠然とありま
した。わかりやすいのはよいけれど、すべて世の中そんなに簡単に
はできていない。わけのわからないことがずっと残されているのでは
という思いがあります。
 筆者は「学ぶ」ということは、先生が有用な知識や技術を与えてくれ
る対価として、生徒がしかるべき対価を払うことで成立する「取引」では
ないことを示唆しています。
 私たちは「理解を望みながら、理解に達することができないという宙
づり状態をできるだけ延長すること」を望んでいるのだそうです。これは
納得です。私が人を好きになるとき、そういう状態です。もっとその人を
知りたい。謎が残っている。意思の疎通が簡単に成就しないから私たち
は恋を求め、恋することをやめないのだろうなと思います。
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by nokogirisou | 2006-10-09 10:30 | 本と図書館
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