『包帯クラブ』天童荒太

 
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ちくまプリマー新書の一冊だが、これは天童荒太の
小説だ。6年ぶりの長編小説とのこと。
高校生の抱える、重くって仕方のない諦めとでも、なんとか
したいという求める気持ちがとてもリアルに描かれている。

 「これは、戦わないかたちで、自分たちの大切なものを守ること
にした、世界の片隅の、ある小さなクラブの記録であり、途中報告
書だ。」
 
 物語は、ワラとディノという少年との象徴的な出会いから始まる。 
 高校2年生のワラと親友のタンシオ。そしてアルバイト先で出会
ったタンシオの小学校時代の友人とギモは、傷を受けた場所に包
帯を巻くことで、心の痛みを手当てする『包帯クラブ』を考案した。
 あきらめるのではなく、傷ついたことを自覚して癒そうとする。
 
 包帯で巻く。子どものころによくやった遊びだ。
包帯には何か優しく、包み込む癒しのイメージがある。自分たちの
痛みだけでなく、同世代の痛みをなんとかしようとしたところがクラブ
であることの意義だ。
 しかしそのクラブの活動もスムーズに進かと思いきや、挫折を
味わうことになる。
 
 ところどころに、現在のタンシオやギモらの報告が折り込まれている。
それが、この小説に希望とリアリティを与えている気がする。
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by nokogirisou | 2006-11-06 21:16 | 本と図書館
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