『走る少女』佐野久子著 

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 新潟市出身の佐野久子さんの近著『走る少女』を読んだ。
陸上部ものである。が、スポ魂ものではない。佐藤多佳子の
『一瞬の風になれ』も陸上部が舞台だが、それとはだいぶ趣
が異なる。それは単に、高校と中学の陸上部の違いだとは
言えない。
 ここに描かれるのは、群像だ。陸上部の個性的な面々。
そこに直接登場するわけでないのだが、クレモナにいる主人公
比呂の兄がいい味を出している。
 家族のつながり、陸上部の人間関係。そして比呂の成長が
そこにたしかにある。
 「わたし、季里ちゃんのことほとんど知らない。ほんとになんにも。
でもさっき季里ちゃんにバトン渡すとき、わたし一瞬感じたんだ。
つながっているんだって、わかりあえるとか、あえないとか、そんな
ことより、つながっていけるって感情は、もっと熱くて、もっとたしか
なことのような気がしたの。その一瞬のために、わたしはこれから
も走っていける。そう思ったんだ」
 この台詞がちょっと気に入った。表紙の絵はちょっと不満。
教師の描き方はちょっとステレオタイプかなと思ったけれど、全体に
とても好感をもって読むことができた。
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by nokogirisou | 2007-03-12 08:28 | 本と図書館
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