『国境お構いなし』 朝日新聞社出版

 ちょっと古いが、上野千鶴子の異文化体験論である。
びっくりするくらい、彼女は海外に出ている。旅というより滞在をしている。
 滞在記として一番おもしろかったのは、メキシコについて書かれた部分
だったが、内容的に最もショッキングだったのは、言語についての話題だ
った。ちょうど村上春樹の『やがて悲しき外国語』と並行して読んでいたの
で、一層印象強かったのだ。
 外国語を習得するというのは、並大抵ではないのだということはわかって
いたけれど、この本を読むとやれやれと思う。
 しかもどんなに使って、自由に操れるようになっても、歳をとり、ぼけた
時には、母語以外の後から習得した言語は忘れてしまうというのだ!
また、海外ですごす子どもをバイリンガルにするためには、親は涙ぐましい
努力をしていることも初めて知った。外国で生活をすれば、自然とバイリンガ
ルになるとは思っていなかったが、こんなにもエネルギーをかけなければ言語
というのは習得できないのかと唖然とした。外国で日本語を習得させることの
困難さを初めて知った。
 また英語帝国主義にもショックを受けた。英語で論文を書けないとアカデミック
マーケットでたちうちできないという。とにかく英語なのだ。言語におけるグローバ
リズムを痛感させられた。
 
[PR]
by nokogirisou | 2007-11-18 09:08 | 本と図書館
<< 図書館生活「ほんぽーと通い」 「風の果て」 >>