『シロクマたちのダンス』ウルフ・スタルク著菱木晃子訳

 
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 菱木晃子さんが、ウルフ・スタルクの代表作と紹介されていた
ので、図書館で借りて読んでみる。ウルフ・スタルクらしい痛快で
考えさせる、いかした物語である。
 舞台はスウェーデンのストックホルム。主人公のラッセは勉強が
苦手で、いたずらばかりして、担任のアスプにうとまれている。よく
いそうな子だ。
 シロクマは、ラッセが子どものころ動物園で最後に見る動物だった。
ラッセは大きな、首をうなだれたシロクマが大好きだった。そして、シロ
クマが動物園にいることをかわいそうに思っていたのだ。そしてタイトル
のシロクマというのは、ラッセによく似た不器用で、誤解を受けやすい
温かい父さんの比喩でもある。
 ラッセにとってとうさん、かあさんのいる家庭は居心地のよいものだ
ったが、かあさんに歯医者の恋人がいることが明らかになってあっと
いう間に幸福な家庭が壊れてしまう。家族とはあっけないものである。
 ラッセは父さんのそばにいたいのだが、母さんといっしょに歯医者の
家に引っ越すことになった。そして母さんの彼氏の歯医者のトシュテンソン
好みの少年にしこまれてしまう。優等生へと変身させられる。
そこでラッセは、考えてしまう。これってぼくなのだろうかと。
 ここは自分の居場所なのだろうかと。

  ラッセには自分で自分の行き先を考えるエネルギーがあった。
  ラッセはシロクマとうさんの家に帰っていくのである。
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by nokogirisou | 2008-11-22 21:10 | 本と図書館
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