宮本輝再読

 このところ、宮本輝の小説を読み直している。小説を再読する
なんて、村上春樹以来だ。このごろ、必要に迫られて本を読むこと
がほとんどだが、そういうチャンスがあることをありがたいと思う。
人はせっぱつまらないと、行動を開始しないものだ。少なくとも私は
そうだ。
 宮本輝も、再読のきっかけは仕事にあったのだが、どんどん横
道にそれて、違う小説も読み始めてしまう。
 昨日は『道頓堀川』を一気に読んだ。私は大阪のことをほとんど
知らないのだが、宮本輝の小説を読んでいると現場が立ち上がって
くる。匂いや音がわきあがってくる。哀しい人間たち。それでも
生き続けなければならない人間に愛着を持って書いている宮本輝。

 宮本輝はストーリーテラーで、演歌みたいな小説だと悪口をいう
人もいるが、やはり上手い書き手だと思う。それぞれの業を背負っ
た人々を、背景とともにかき分ける。そこには客観的な冷めた視線
もある。登場人物はまるで本当に存在しているかのようになまなま
しい。
そして宮本作品は私たち読者がその世界に入り込むことをこばまない。

 私は初期の作品が好きだ。
『泥の河』『道頓堀川』『錦繍』『星々の悲しみ』『青が散る』 『優駿』
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by nokogirisou | 2009-01-23 21:15 | 本と図書館
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