オペラ『夕鶴』 オパヴァシレジア劇場

 日本のオペラ『夕鶴』を、チェコの人たちが演じると聞いたとき、ちょっと
意外に思った。『夕鶴』といえば、鮫島由美子の「つう」が有名だが、私は残念
ながらまったく聴いたことがなかった。日本のオペラにあまり興味がなかった
というのが正直なところだ。日本でもあまり演じられない『夕鶴』をどうしてチェコ
の人たちが日本語で日本で演じようと思ったのだろう?
 しかし、せっかく地元でオペラをやるというので、しかもチェコの方達がはるば
る日本に演奏にきてくれるというので、出かけていった。新潟テルサ大ホールにて
10月30日のことだ。
 チェコのことを私は何もしらなかった。オパヴァ シレジア劇場と言われても
いったいどこにあるのかぴんとこない。
 手渡されたオパヴァのパンフレットがとてもありがたかった。オパヴァはチェコの
北東にある、ポーランドと接するシレジア地方の主都だという。人口は6万人。
写真で見ると本当に美しい都市である。世界には私の知らぬ文化的な都市が沢山
あることを自覚する。
 音楽監督ヤン・スニーチル氏は日本で『夕鶴』を見た奥さんの紹介で知り、その
芸術性に惹かれてオパヴァシレジア劇場で演ずることにしたという。その勇気には
驚くばかりだ。
 「鶴の恩返し」の昔話は、ちょっとうんざりだという気持ちがどこかにあったのだが
今回のオペラを見て、私の先入観と偏見はうちくだかれた。
 木下順二の戯曲『夕鶴』はさすがにすばらしくよくできていることがわかった。
オーケストラボックスのすぐそばの席だったので、オーケストラも歌もじっくり楽しめた。
出演者たちの日本語の上手さには舌を巻いた。日本語あの美しい声がきけるとは…。
また今回は、舞台演出もふりつけもすばらしくに圧倒された。はじめはカタリーナ・ヨルダ
・クラモリショヴァー演じる「つう」の白い振り袖姿に違和感を覚えたのだが、彼女の純粋
さ、ひたむきさが伝わってきて本当に舞台にひきこまれた。
 与ひょうの人のよさ、純粋さも十分表現されていておもしろかった。
 運ず、惣どの2人組のこっけいさもよく伝わってきた。惣どのバスの日本語がちょっと
聞きにくかったのが残念だったが、よくひびきいい声だった。
 そして子どもたちは日本の「とんとんやかた」の子どもたちが演じていたが、違和感
なく明るいすてきな歌で楽しませてもらった。
 オペラはなかなかいいものだと思った。ほかのオペラも聴いてみたいと強く思う。

 ただ、疑問だったのは、一幕もののオペラを2幕に分けて演じていることだった。
 これなら一気に演じてしまってもよいのでないだろうか?

團伊玖磨作曲 木下順二原作 
音楽総監督 指揮:ヤン・スニーチル オパヴァ シレジア劇場管弦楽団
つう  カタリーナ・ヨルダ・クラモリショヴァー
与ひょう  ミハル・ヴォイタ
運ず  ズデニェック・カプル
惣ど  ペテル・ショーシ
子供たち 「とんとんやかた」児童合唱団
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by nokogirisou | 2009-11-01 20:31 | 音楽
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