全国公共図書館研究集会と情報交換会

  研究主題は「出版文化の危機と新しい図書館像」

 悪天候のため、沖縄からの参加者は参加断念されたそうだ。
私は、直接の図書館関係者ではないが、利用者として今日の
集会に参加させていただいた。
 夙川学院短期大学の湯浅俊彦先生の「出版コンテンツの
デジタル化と図書館の新たな挑戦」という基調講演には
度肝をぬかされた。
 うわさには聞いていたが、本当に出版コンテンツのデジタル
化が進んでいることを生々しく感じた。本や雑誌を電子的に読
むことが10年から15年後には一般的になるという。
 国立国会図書館長の長尾真さんは、利用者が自宅から図書
館蔵書にアクセスし、電子本のダウンロードごとに手数料を支
払い、出版社に還元できるモデルを提唱しているそうだ。

 次の基調講演はポット出版の沢辺均社長。
「出版文化は危機ではない、むしろ豊かになっている。危機に瀕
しているのは流通だ」と言われた。まさにそのとおり。
コンテンツは充実している。また、決して若い人たちは活字離れ
していないという。毎日新聞社の調査によると若年層の読書率は
下がっていないのだそうだ。
 変わってきているのは、メディアの変貌による読書の形態だろう。
かつてのように紙媒体の古典を読む読者が減ってきているのは
事実だと思う。ケータイ小説を読む若年層はたくさんいる。電子ブ
ックを読む若いビジネスマンも多いのだ。
 また、インターネット社会となり、誰でも情報を発信できるように
なった。これは大変化であろう。そして、無料で、たくさんの情報を
得ることができるのだ。
 このネットの時代に公共図書館は何ができるか。どんな役割が
期待されているか。
 沢辺社長の提案は次のようなものだった。

  ・情報・思想感情の選別と抽出。
  ・情報の事実確認機能。
  ・収集した情報を編集、分類、編集し付加価値をつけて利用者に
   提供する。
  ・本屋に売っていないコンテンツの保存と提供

 千代田区立図書館長の新谷迪子さんの事例発表はすばらしかった。
 平成19年に指定管理者制度を導入してリニューアルオープンした
 図書館だ。
 コンセプトは5つ

   ・千代田ゲートウェイ 
   
   ・創造と語らいのセカンドオフィス

   ・区民の書斎

   ・歴史探究のジャングル

   ・キッズセミナーフィールド

  特徴的なサービスは、
  ・ビジネスパーソンの利便性に配慮して夜10時まで開館していること。
  ・公立図書館初の電子図書貸し出しサービスを行っていること。
  ・コンスタントで戦略的な情報発信のために独立した広報部門を設置。
  ・図書館内や地域情報へのアクセスを手伝う図書館コンシェルジュを
   おいている。
  ・滞在型の図書館を提案し、その試みのひとつとしてペットボトル持ち
   込みも許可している。

   とにかく魅力的なサービスをたくさん行っていて、話を伺っていると
   ぜひ行ってみたいという気持ちになる。本の街、神保町とのタイアップ
   出版社との連携も見事だ。
  館長みずから、出かけていって、古書店主らと交わり、協力しあっている
  のがよくわかった。
  もちろん、一朝一夕にこれらのサービスや連携ができたわけではなく、
  軌道にのるまで、3年の月日が必要だったという。やはり新しいことを
  行い、人々から理解され、信頼されるには時間がかかるのだ。
   しかし新谷館長のバイタリティには頭が下がる。上京したら、ぜひ
  千代田図書館に行ってみようと思う。
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by nokogirisou | 2010-01-15 01:24 | 本と図書館
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