『朗読者』ベルンハルト・シュリンク著

 遅ればせながら、『朗読者』を読んだ。翻訳小説を読むと、
そこには自分の知る世界とは別の世界がひろがっているような
居心地のよさを感じる。
 少年と年上の女性との恋愛。 
 逢瀬のときにハンナは少年ミヒャエルに本を読むことを求めた。
少年はハンナのために朗読をし、そしてようやく彼女と愛し合うこと
ができた。
 ハンナは、不思議な女性だった。自分のことの多くを語らない。
自分の方からミヒャエルの個人的なことに興味をもたない。
そして彼女はときどき不機嫌で、ミヒャエルとけんかをした。謝るの
はいつもミヒャエルだった。彼はハンナの愛を失うのがこわかったのだ。
 けれども、彼女との幸せな時間は一夏でおわってしまう。
ハンナは忽然といなくなってしまうのだ。何も言わず、何も残さず。
ミヒャエルがどれほど傷ついたか想像に難くない。
 この恋愛の描き方がとても魅力的で、リアリティがあった。

 そして時は流れて、ミヒャエルは法科の学生のときに、裁判の公判で
ハンナと再会する。彼女はアウシュビッツで女看守をしていたのだった。
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by nokogirisou | 2010-01-17 10:13 | 本と図書館
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