2004年 10月 20日 ( 2 )

神谷美恵子日記 角川文庫

 神谷美恵子といえば『生きがいについて』と『心の旅』が思い浮かぶ。
私が学生時代にとても話題になった本である。
 神谷美恵子の著作は折りにふれて読み返したくなるもののひとつだ。
毎回新しい発見がある。
 「軋轢のある、神経の緊張した、なやみの多い世界でないとだらしが
なくなる。より高い発育の段階に至るために生物は多くのものを犠牲に
してある特定のものを伸ばすということを聞いた。」
 毎日生きていると、軋轢やストレスから逃れたい、悩みから解放され
たいと願ってしまうが、そういう毎日では成長がないということか。
 たしかに、楽しくのんびりした毎日は心地よいかもしれないが、それば
かり続くと高い質の仕事ができなくなる。悩みがないと、考えない。自由
で伸びきってしまうと、時間を有効に使わなくなってしまう。私は安きに流
れてしまう人間である。
 「愛情の生活ほど人間にとって根本的なものはない。(中略)
 善良になることを恐るるなかれ、
 愛しすぎることを恐るるなかれ、
 むしろ右の足らないことを恐れよ。」
 前置きなく、まっすぐにこう言い切れることが素敵だと思う。
 
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by nokogirisou | 2004-10-20 22:38 | 本と図書館

再読の日々

 本当に自分の記憶力は怪しいと思う。そしてあんまろ変わっていない
のだなと愕然とする。
 10年前に読んで、かなり刺激を受けた(と思っていた)落合恵子の
『愛、まさにその名のもとに』を再読。今読んで、また「新鮮」に思って
しまうということは、ちっとも落合さんの示唆していることを自分のモノ
にしていないということか…。
 これは「A・Sさんへ」という呼びかけで始まった12通の書簡体の
エッセイであるが、実はこのA.Sさんという女性は、ここにはいない。
すでに亡くなられてしまった落合さんの友である。
 この本のテーマを一言で言うと「賢い不服従」だろうか。
 「愛」「やさしさ」「平和」等の一見誰もが異議を唱えられない、外側
からも内側からも個人を縛っていく価値観。それらに無意識に服従す
るのではなく、本当にそれでいいのか振り返る、見極める力と習慣が
必要だと言っている。
 落合恵子自身が、メイ・サートンやアリス・ウォーカーやリリアン・ヘルマン
などの作品を再読し、その中の珠玉の言葉を引用しながら語りかけている。
 ひとつひとつの言葉が身体にしみこむように感じられた。
まずは、自分の足が踏まれたことにばかりに敏感になるだけでなく
「誰かの足を踏んでいないか自ら問い直す」生き方をしたい。
 そして、気に入った言葉は
「孤独とは、存在することの空間を持つということである」というメイ・サートン
の言葉だった。
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by nokogirisou | 2004-10-20 06:08 | 本と図書館