カテゴリ:音楽( 190 )

「ピアニスト・辻井伸行 自作曲に挑む」を見る

 NHKで「旋律よ 殿堂に響けピアニスト・辻井伸行 自作曲に挑む」
を見た。辻井さんは2009年、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンク
ールで優勝し一躍、有名になったピアニストだ。視覚障害を持つが、
まったくそれをハンデとしないような、全身から音楽がわきでてくる
ようなピアニストだった。DVDが発売され、あらゆる場所でのコンサー
トはチケットが売り切れ、本は出るし、映画「はやぶさ」の音楽も担当
するし、メディアにやたら出るし、恵まれたピアニスト人生を歩んで
いると思っていた。
 しかし、今回の番組は、辻井さんが「作曲」という高い壁の前で挫折
し乗り越えたところに着目していた。きっかけは作曲家加古隆の指導だ
った。辻井さんはこれまでインスピレーションであふれるように出てく
る音で作曲してきたが、加古氏はそれをストップさせた。音を吟味し、
和音ではなくメロディで勝負せよと伝えたのだ。加古氏の助言はとても
印象深く、音楽だけでなくあらゆることに当てはまるような気がした。
すらすらうまくいくことは、ステレオタイプに陥りやすい。苦労して吟
味して作っていかないと新たな発見も前進もないのだと思う。

 その指導後、辻井さんは作曲に苦しむことになる。これがいわゆる
挫折だ。
 彼の直面した困難のひとつは、映画音楽の作曲時における監督のイメ
ージを音楽にすることだった。監督の求める強さや深みをどう表現するか。
 もう一つの困難はカーネギーホールで発表する自作曲の作曲だった。
アメリカ人になじみのある「金髪のジェニー」をもとにどう自分らしさを
表現するかに苦しんだ。
 前者は、自分自身の葛藤の経験を生かし、後者は震災でピアノを失った
少女への思いをもとに、作曲に挑んだ。その具体的な過程は画面には映し
だされなかったが、それぞれタイムリミットまでに辻井さんは完成させて
いた。やはりこういうところがプロなのだろう。

 それにしてもカーネギーホールでの辻井さんの緊張と終わったときの
解放感は、半端でなかった。あそこまで素直に表現できることも彼の個性
なのだと思う。
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by nokogirisou | 2011-12-30 22:23 | 音楽

ベートーベン交響曲第9番

 子どものころから、プロ・アマどちらも合わせてずいぶん
とこの曲を聴いてきたのだが、いつも今ひとつぴんとこなか
かった。なんだか退屈だった。歓喜の歌にそれほど感動でき
なかった。それは演奏の問題でなく、私自身の耳と心のせい
だと思う。

 ところが、昨日NHKFMの「今日は一日朝比奈隆三昧」で
聞いたときは、ちょっと違った。
12月29日は朝比奈隆没後10年目の日だった。2001年
10月24日に大阪フィルの名古屋公演でチャイコフスキーの交
響曲第5番を振ったのが最後となり、公演直後入院し、12月
29日に亡くなったという。今日はその命日の特別番組で私が
聞いた第9は29日大阪ザ・シンフォニーホールから生中継の
大植英次指揮の大阪フィルの演奏だった。

交響曲第9番二短調 作品125 合唱つき ベートーベン作曲

 指揮:大植英次 ソプラノ:スザンネ・ベルンハート 
 アルト:カロリン・マズア テノール:トーマス・クーリー 
 バリトン:アンドレアス・バウアー 合唱:大阪フィルハー
 モニー合唱団、大阪音楽大学合唱団 演奏:大阪フィルハー
 モニー交響楽団

 とくに第4楽章の合唱がはじまるまでのオーケストラだけの
部分がなかなかすてきだった。そして独唱と合唱が加わると
まったく趣が変わって歓喜のムードが一気にたかまっていく。
どこがどうという構造は言葉でうまく説明できないのだが
最後まですとんと心に響く演奏だった。飽きることなく、最後
まで集中して聞くことができたということが驚きだった。

 
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by nokogirisou | 2011-12-29 23:02 | 音楽

好きな歌10曲えらぶとしたら

 無人島に行かねばならんくなった。10人10曲の歌だけ
持っていってよいと言われたら、何を持っていくだろうか。
 
 Here, There and Everywhere(ビートルズ)
 A Song for You(カーペンターズ)
 Fly me to the Moon(CLAIRE)
 Tapestry (キャロル・キング)
 We're All Alone(ボズ・スキャッグス)
 
 心拍数(山崎まさよし)
 二隻の船(中島みゆき)
 YELL (いきものがかり)
 月と太陽 (矢野顕子)
 R.I.P (BUMP 0F CHIKEN)
 
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by nokogirisou | 2011-12-29 18:40 | 音楽

矢野顕子と上原ひろみ

またまたNHKだがSONGSを見た。
矢野顕子と上原ひろみのデュオに圧倒された。気になる2人の共演。
2人は7年前に出会って、親しくつきあい、一緒に音楽を作ってきた
そうだ。
今回の番組では、二人の合羽橋の小さな旅と、スタジオでの息がぴっ
たりのライブを同時に楽しめた。
本当に鳥肌がたつほどのピアニズムだった。それぞれが、それぞれの
音楽の中にいるのに、2人寄り添う。互いのピアノを聴き合う。
どうしてぴったり合うのかふしぎだった。
ピアノってこんなにもすごい楽器だったのかと気づく。
 彼女たちの中にあって、わいてくる音楽が共通なのだろうか。
どういう練習をしているのだろう。形があるのに形がない音楽。
そして矢野顕子の歌声も魅力的だった。特に「月と太陽」
 感動の時間。
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by nokogirisou | 2011-11-23 23:38 | 音楽

9月の音楽会

 ここのところ、関わっている会の会報作りでドタバタ
していて、なかなか書けなかったので、まとめて書く。

9月11日(日)りゅーとぴあコンサートホール
新潟市ジュニアオーケストラ教室第30回演奏会
新潟市ジュニアオーケストラ教室は、1980年に発足したそうだ。
現在130人もの団員がいる。私はそこの生徒さんにさそわれて
今回はじめて、演奏会を聞きに行った。
 開場30分前に行ったら、長蛇の列。ジュニアといえども
あなどれない。ロビーコンサートがあるので、お客はホワイエ
をうろうろしている。
 金管ファンファーレに続いて、コントラバスの「ふるさと」
のアンサンブル、木管五重奏でおなじみの「ジ エンターテイ
ナー」、弦楽アンサンブルで楽しくはじく、「プリンク プラ
ンク プランク」の演奏を楽しんだ。近いところで演奏して
くれるので、これはこれでおもしろかった。
 コンサートの方は、年長者のB合奏によるチャイコフスキー
の交響曲第五番ホ短調作品64がすばらしかった。それまでの
A合奏、AB合奏とは趣が異なり、本格的なオケの音色がした。
二楽章と三楽章の間で、チューニングを行い、丁寧に丁寧に
演奏しようという姿勢を感じた。チャイコフスキー独特のうね
りの感じをよく表現していた。それぞれの楽器パートがんばり
ましたね…というかんじ。ティンパニの男の子がなかなかよか
った。
 
9月17日(土)新潟市音楽文化会館ホール
 新潟ドルチェマンドリン・アンサンブル第37回定期演奏会

 同僚が出演するので、聴き行った。さまざまな大きさの
マンドリンとギターとコントラバス、そこにエキストラの
クラリネットとフルートとパーカッションの加わったオケの
ような楽団のアンサンブルである。
 第一部は前半、「アメイジンググレイス」や「愛の讃歌」など
ポピューラーな音楽をマンドリン用にアレンジした曲の演奏だった
が、後半20分のマンドリンオリジナルの大曲がすばらしかった。
Hiro fujikakeの「セレナーデ第二番」。この曲の指揮を前述の
同僚がやったのだが、これがかっこよかった。
マンドリンのばらばらになりそうな音をうまくつむいでまとめて
いる印象をうけた。
 第2部はテレビ番組のテーマ曲や挿入曲をマンドリン用に
アレンジしたものを集めた楽しい舞台だった。
 その後半は、ふたたびマンドリンオリジナル曲。
「受難のミサ~日本26聖殉教ミサによる~(鈴木静一作曲)  
これは、テーマを反映したなかなか重い曲であったが、美しい
曲で聴き応えがあった。この指揮も同僚がやったが、渾身の
指揮であったと思う。
 このあとのアンコール曲が、「坂の上の雲」「仁」といずれ
もテレビドラマの主題歌だったので救われた。

 マンドリンはイタリア発祥の楽器だ。しかし、とっても日本
ぽいと感じてしまった。まるで大正琴の音色のようだ。見かけは
琵琶のようだ。音色には独特のゆらぎがある。きっとピックで弦
をひっかくために生まれるゆらぎなのだろう。
 
 それにしても楽団に入って音楽を演奏する醍醐味を味わって
いるドルチェマンドリンアンサンブルのみなさんの表情を見てい
るとちょっとうらやましくなった。
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by nokogirisou | 2011-09-23 00:13 | 音楽

横山幸雄ピアノリサイタル

 
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 13時会場、13時半開演。自由席だったので12時に
会場の「りゅーとぴあ」に行ってみたら、すでにコンサ
ートホール前に20人ほど並んでいる。今回はヤマハ新
潟店設立35周年記念のリサイタルだそうだ。ヤマハ関
係者の姿が見えた。
 私は待ち時間にたまたま『神様のカルテ』を読んでい
たのだが、後ろに並ぶ60代くらいの女性たちが、この
映画のことを話題にしていた。「桜井翔くん、いい男よ
ね。」「あの映画は泣きそうだから、一人で見にいかな
いとね」「あのテーマ曲は辻井伸行さんの作曲と演奏な
のよ」と盛り上がっていた。青春まっただ中のようだ。
 ようやく開場。私はミーハーにも中央のかぶりつき。
私の隣には、白いドレスをまとった女性と、和服姿の女
性がすでに陣取っていた。たまたま一つだけ空いていた
のでラッキーだった。
 ピアノは前回の演奏会のときはスタインウェイだった
が流石に今回はヤマハである。フルコンサートグランド
ピアノCFX。なかなかいい音だった。2000万円近く
するピアノである。
 前半のプログラムは昨年、生誕100年だったショパ
ン。作られた順にくまれていて、横山氏が曲の解説をし
て弾いていく。ショパンの作曲当時の状況をわかりやす
く語ってくれた。その話しぶりは謙虚な印象を受けた。
 1バラード1番
 2ノクターン20番遺作
 3幻想即興曲
 4スケルツォ2番
 5子守歌
 6舟歌
 7ポロネーズ6番「英雄」

 後半は10年前に横山自身が作曲した「祈りのバラー
ド」でスタートした。10年前の「同時多発テロ」のこと
もふれていた。もうそんなに経つのか。
 あとはすべてリストの作品。リストは今年生誕200年。
リストの曲はmcなしで一気に弾き進められていった。

 8横山幸雄 祈りのバラード
 9伝説Ⅰ
10シューマン=リスト 献呈
11オーベルマンの谷
12超絶技巧練習曲集 4,9,10番
13ラ・カンパネラ
 アンコールは リストの「愛の夢」と
ショパンの「革命のエチュード」
 
 メリハリのある演奏だった。一つの曲の中にも
メリハリがあり、プログラムの中にもメリハリが
あった。高音がとてもよく響いていた。
曇りのない明快な音色。
ショパンのバラードと英雄ポロネーズ、
リストの伝説Ⅰとラ・カンパネラが圧巻だった。
私のとなりの女性は、感極まって涙を流していた。

 テンポが安定していて、大事な音をしっかり
鳴らしてくれるので安心感がある。さすがに超絶技
巧練習曲の後お疲れだったようで、顔は汗だくだった。
 アンコールもまたく手抜きなく弾いてくれてうれし
かった。
 やはり、最近聴いたピアノリサイタルの中では
ダントツの満足感を得られた。クリアな音と圧倒的な
ボリューム。ショパンの世界とリストの世界の弾き
分け。
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by nokogirisou | 2011-08-28 23:01 | 音楽

情報は飛び込んでくる

 「豆煎坊」にはコンサートやリサイタルのポスターが
たくさん貼ってある。
 なにげなく眺めていて、私は横山幸雄の新潟でのピアノ
リサイタルのチラシを見つけた。え?まったくノーチェック
だったことを恥じた。ホームページを頻繁に見ていたつもり
だったが…。
 昨年の5月4日のショパンピアノソロ連続166曲コンサ
ートの模様をテレビ録画で聴いて以来だ。その後の彼の演奏
には興味があった。リサイタルは8月28日だ。まだ間に合
う。もし豆煎坊に来ていなかったら、私はこの情報をしらず
にいたかもしれない。求めていれば、必要な情報はやってくる
と私は信じている。迷わず、私は「りゅーとぴあ」にチケット
を買いに急いだ。
 ある演奏家を好きになるというのは、不思議な心理だ。
どんなにうまいと言われる演奏家にも、どんなにルックス
のいい演奏家にも全く食指が動かないこともあれば、ある日
突然夢中になることもある。たまたま、出会った演奏にそっ
こんファンになることもある。
 横山幸雄というピアニストは、私にとってまだ未知な部分
があるので、気になる。手放しでファンだとはまだいえない。
しかし、新潟にきてくれるならぜひ聴いてみたい。
 私はつぶのそろった、しかし無表情ではない、クリアな
ピアノの音が好きだ。さて、28日の演奏はどうなるのだろう。
夏の終わりで、気持ちがめいっていたが、一気にテンションが
高まる。なんと単純な私。
 
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by nokogirisou | 2011-08-20 20:05 | 音楽

上野千鶴子「声」

 上野千鶴子の学術論文以外の著述はできるだけ読むようにしているが、
彼女のエッセイと俳句を私は秀逸だと思う。
 エッセイ集『ひとりの午後に』はNHKの「おしゃれ工房」という雑誌との
コラボで生まれたという。この本についてはまたのちほど書きたいが、
その中の「声」というエッセイにとても共感を覚えたので、忘れないうちに
記しておこう。
 上野はヴォーカルが聴けなくなったプロセスをテープを逆戻しするよう
にたどって、女性ヴォーカルを聴くようになっていったという。
 私と共通なのは、彼女がオーケストラを聴けなくなり、室内楽が好きだ
という点。楽器の中で管楽器がだめになったというところ。管楽器は息を
吹き込む楽器だからだろうか。ヴォーカルは論外になったという。
 私もあるとき、オーケストラがまったく聴けなくなった。CDを流しても
おしつけがましくて、止めてしまうということがあった。今はライブやFMな
らオーケストラを喜んで聴くが、CDを部屋で聴くのは必要に迫られたとき
と、ライブの予習と復習(笑)のときである。
 人の声はだめだった。オペラのアリアも歌曲も聴いていて苦しくなった。
特に女性の声がだめだった。まったく歌をきけない時期があった。

 それが聴けるようになったのは、上野千鶴子と同じくフィリッパ・ジョルダーノ
を聴いてからだった。サラ・ブライトマンも聴いた。そして、以後人の声を聴け
るようになった。なぜそうなったのかわからない。吹奏楽も好きになった。
ただし、上野も書いているように女性の歌声を聞くには、聴く側の体力と気力がいる。

 音楽を聴くという、ただそれだけのことが聴く側の精神や体力ととても大きく
関わることを痛感する。
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by nokogirisou | 2011-06-25 09:28 | 音楽

清塚信也 りゅーとぴあプライムクラシック1500

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 清塚信也を初めて知ったのは、映画「神童」だった。松山ケンイチの扮する
音大をめざす浪人生ワオのピアノ吹き替えをやっていたので、その名前を知
った。その後「のだめ」の千秋真一のピアノ演奏の吹き替えもやっていたという。
それでちょっと気になるピアニストだった。
 その清塚信也が新潟に来ると聞き、ふらふらと出かけてきた。世の中には
様々な趣味や好みがあると思うが、私にとっては、生のクラシック音楽を聴く
ことが、何よりわくわく、命の洗濯である。私はどちらかというと、大編成の
オーケストラよりも室内楽や、器楽演奏が好きだ。自分の中でピンときた
コンサートやリサイタルは、衝動的にチケットを買ってしまう。何がなんでも行って
しまう。それで家族の顰蹙を買っている。今回は風邪がまだ完全に治っておらず、
咳が出ないかととても心配だったが、ヴィックスドロップを大量に持って行ってきた。
 席が、一番前の八番で、残念ながら、清塚さんの後ろ姿を見ながら聴くかっこう
になってしまった。ピアノはスタンウェイでなく、YAMAHAのものを使用していた。
 とにかくトークが圧巻。クラシック音楽のバッハ以降の流れと音楽家のエピソード
をとてもわかりやすく、おもしろく語る。ちょっとしゃべりすぎか…と思うところもあっ
たが、お客さんに対するサービスなのだろう。曲目もベートーベン、ショパン、リスト
ドビュッシー、ポンセ、ガーシュインとポピュラーな曲をあれこれ多様に披露してくれる。
サービス精神旺盛、営業熱心なことがよくわかる。

 場所のせいか、ショパンがやや音色がこもったり、響きが重なって聞こえてしまった
のは残念だが、リストのラ・カンパネラは迫力があり、美しかった。またメキシコの作曲家
ポンセの間奏曲やガーシュインのラプソディインブルーがとても面白く印象に残っている。
その他NHK大河ドラマ「龍馬伝紀行」のテーマ曲やアンコールで披露した、オリジナルの
「Fortuna〜フォルトゥーナ」は清塚さんらしさの出た、すてきな演奏だったと思う。テクニ
ックのある人だし、頭のよい人だということがよくわかった。ジャズも得意なようだ。器用貧
乏に陥らず、自分らしさの出る演奏をさらに続けていってほしいと思った。 
 
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by nokogirisou | 2011-05-28 00:58 | 音楽

ラ・フォル・ジュルネ新潟

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 5月1日からラ・フォルジュルネ新潟が始まっている。今年は
「ウィーンのベートーベン」というテーマでかなり大がかりな音楽祭
となった。
 震災の関係で、チケット発売が遅れたり、出演予定の外国人演奏
家が出演キャンセルをしたりして、紆余曲折を経ての音楽祭である。
 私は、音楽文化会館で鍵冨弦太郎のヴァイオリンと横坂源のチェロ
をなんとしても聞きたかったので、その二公演のチケットを発売日に
購入した。(おかげで前の席をとることができた)
しかし、現地にいってみると、会場全体がお祭りムードで、もっともっと
聞きたい気分になる。しかしみなすでに満員御礼のシールが貼ってあ
るではないか。あきらめるしかない。
 芸術文化会館りゅーとぴあの周辺は老若男女であふれていた。

 まずは鍵冨弦太郎。前回、音楽文化会館でリサイタルをやったときに
比べて格段に成長していることを感じた。
 韓流スターのような面持ちで登場。ヴァイオリンをかまえると表情が
変わる。空気中に音をつかまえるようにベートーベンのヴァイオリンソナタ
第9番イ長調「クロイツェル」を熱演した。高音部の繊細さと、低音部の
豊かさ。音色が心地よい。そして、とにかく全身でうたっている感じがした。
 テンポは速く激しく、若々しい演奏だった。その後のロマンスはゆったり
として、気持ちよく弾いていた。本当にかっこいいおにいさんだった。

 清心女子高校校中学校のハンドベルの演奏を聴きながら、お茶をのみ
心を落ち着けてから、横坂源の変奏に向かう。
 横坂くんは、鍵冨くんより、ちょっとワイルドな感じ。目はくりくりとしている。
ピアニスト、エマニュエル・シュトロッセとのコミュニケーションをとる様子が
よかった。
ベートーベンのチェロソナタの四番を演奏してから、暗譜で三番の演奏に
移った。彼三番への意気込みを感じた。かれもまた、音をつかまえるような
演奏だった。全身でチェロを格闘。目をつぶっている時間が長い。すべて
ベートーベンの音楽が自分の中にあるといった様子だ。汗だくであろう。
 力強く弾くので、第一楽章の途中で、弓の数本が切れた。しかし少しも
気にせず演奏を続ける。余裕を感じた。
 すばらしい演奏だった。

 全くタイプの異なる二人だが、新潟出身の若手演奏家の存在感にうれしく
なった。
 やはりCD演奏より生の演奏の方がずっといい。音楽はライブで楽しみたい。
音楽は空気と時間といっしょに味わうものだ。この緊張感と集中力がたま
らなく好きだ。ラ・フォルジュルネを堪能した。
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by nokogirisou | 2011-05-08 17:37 | 音楽