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「紅茶を注文する方法」土屋賢二

 
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DADAさん
のご紹介で『紅茶を注文する方法』(文春文庫)
を笑いながら読んだ。土屋賢二の生のお話も大変おかしいそう
だがこの本もまたなかなかおもしろい。土屋先生の声が聞こえ
てきそうだ。この本を声に出して読むのがなかなか愉快かもしれ
ない。私は寒いバス停で読んでいたが。
 土屋先生は、本当に哲学の先生なのだろうか。たしかに哲学者
らしいところもある。
 とにかくやたら番号を振って整理しようとしているところがおか
しい。前書きには「わたしがすくなくとも大作家の基本的条件を
満たしている」と7つの条件を箇条書きにまとめている。
 プリンタを壊したときに得た教訓を8つの箇条書きにしている。
 蔵書を整理することは永遠の課題だそうだが通信販売で組み立
て式本箱を買って組み立てて大量の法則を発見している。
 でもやっぱり、一番気に入ったのは書名にもなっている紅茶を注
文する方法」というエッセイだった。この最後まで皮肉たっぷりの文
章を読んだあとに熱いポットに入った紅茶を飲みたくなるのは請け
合いだ。
 
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by nokogirisou | 2004-11-29 21:27 | 本と図書館

ある結婚式の2次会で

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友人がとうとうご結婚することになり、そのお祝いの会に参加してきた。
お二人が、紆余曲折を経て、「一緒に生きていく」決心をされたことは
本当にうれしいことであった。
 その会では思いがけない懐かしい方にたくさん逢えてうれしくもあり、
世の中の狭さに驚きもした。お祝いするのも忘れてまるで同窓会?の
ような楽しさだった。
 そこには中越の方ももちろんいらしたのである。
 避難所となっている学校に勤めていて宿直をやってきたという方や
アパートに赤紙が貼られて、別のアパートに引っ越したという方や(食器
はずべて粉々で、後始末が大変だったそうだ)、車の中で2泊された方
などの生のお話をお聞きした。
 テレビや新聞の中の話でなく、こうやって体験者から直に伺うと今回の
地震が本当になまなましく感じられてくる。やはり何かしなければという
気持ちになってくる。
 
 さて人と人とのつながりって何なのだろうと思う。
 それそれが成長したり、学校に入ったり、職場が変わったり、人との出会い
 と別れを繰り返していくのだけれど、一度親しくなったものとは再会によって
 また結びつくことができる。たとえ毎日顔を合わせることがなくなっても
 ふたたび会えば昔のようななごやかな関係が戻ってくることもある。もちろん、
 全く昔と同じではない。そこにはやはり遠慮と配慮がはたらくのだが。
 
 とにかく、友人の結婚に乾杯!
 いろいろな方々との再会の場を作ってくれた友人に感謝!
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by nokogirisou | 2004-11-28 15:20 | 日々のいろいろ

いわさきちひろ「ラブレター」

 本屋さんが、『ラブレター』を仕事場の机においていってくれた。
 いわさきちひろの数多い絵の中で私が一番印象に残っているのは
『赤い蝋燭と人魚』の絵である。それもとっても暗くてさびしい日本海
の絵である。直江津の浜で、海をスケッチしながら(すでに病は進ん
でいた)具合が悪くなり、近くの人の家で休ませてもらいながら、
あの、絵を仕上げたという。
 彼女の残した多くの言葉の中で私が印象に残っているものの中に
次の一節がある。
 「若かったころ、たのしく遊んでいながら、ふと空しさが風のように心
をよぎっていくことがありました。親からちゃんと愛されているのに、親
たちの小さな欠点が見えてゆるせなかったこともありました。
 いま私はちょうど逆の立場になって、私の若いときによく似た欠点だ
らけの息子を愛し、めんどうな夫がたいせつで、半身不随の病気の母
にできるだけのことをしたいのです。
 これはきっと私が自分の力でこの世をわたっていく大人になったせい
だと思うのです。大人というものはどんなに苦労が多くても、自分のほう
から人を愛していける人間になることなんだと思います。」
              「大人になること」より
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by nokogirisou | 2004-11-27 16:06 | 本と図書館

ボランティア

 中越地震から、早くも一ヶ月以上が過ぎた。
 これまでは義捐金を送ることしかできなかったがようやく、中越地
震のボランティア活動のための、そのまたお手伝いを始めた。ボラ
ンティアというのは、その気持ちがあってもなかなかできないものだ
と思っている。
 まずやはり、投げ出せない自分の日常というものがある。今自分
が不在になってしまうことで、多大な迷惑を人様にかけるようでは
ボランティアにならない。しかも、日常生活というのは、普段のことだけ
でもうあっぷあっぷの状況である。そこをなんとか整理して、割り切って
動き出すには決心がいる。
 そして、いったい自分に何ができるか、どこに連絡したらいか考えね
ばならない。情報はあふれている。その中でそれらを読み込み、取捨
選択をするのはかなりのエネルギーが必要である。

 今自分が関わろうと思っているのは、学校図書館復旧のためのボラン
ティアと子どもたちへの読み聞かせのボランティアである。
 それから、中越地震に関する新聞記事のスクラップ作成である。
 残念ながら今すぐ現地に飛び込んでいけないので、受け入れ先の
情報を流して、ボランティア参加希望者をつのるという仕事である。
 12月に入ったら私自身も現地に入りたい。
 
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by nokogirisou | 2004-11-26 04:59 | 日々のいろいろ

ハウルの動く城その2

 久石譲の音楽は、やはりこの映画にぴったりだった。

 「世界の約束」
 「人生のメリーゴーランド」

  この2曲は耳からしばらく離れない。
 おもわず 口ずさんでいる。

「世界の約束」はこの映画の主題歌で作詞はあの谷川俊太郎、
作曲は「千と千尋」の 木村弓、編曲・久石譲で倍賞千恵子が歌
っている。ちょっぴり憂いが感じられるところがいいのかもしれない。
 
 90歳のおばあさんにさせられたソフィーだが、彼女はときどき
 若い表情をみせる。瞬間若めのおばあさんになったり、少女に
 もどったりする。まじない故の「揺らぎ」なのかもしれないが、
 違和感なく、なんの説明もなく、ソフィーは年寄りに戻ったり、
 若くなったりする。あまり内容について語ってしまってはこれから
 劇場に行かれる方に申し訳ないで控えるが、最初の沢山のなぞ
 「不思議」がこの物語の魅力である。
  
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by nokogirisou | 2004-11-24 22:03 | 音楽

「ハウルの動く城」その1

  人に怒られ、悪態つかれて、重い気分で劇場に向かう。
  その人にとってはまじめにこつこつ生きて、優秀な成績を
 修めて成功し、出世 することが最上の人生(あまりに古典
 的で笑ってしまいそう だが、まだまだこういう方はいらっしゃ
 るのである)であり、 毎日ふらふら遊び歩いていて、仕事も
 家事もそこそこ 適当にお気楽に人生を送っている私の生き
 方は気にくわないのである。その人は自分が他人の犠牲に
 なっているという自負と被害妄想がある。人の人生に干渉する
 ことで、うさばらしをしているのかもしなれない。 
  そんな気持ちで見たからか、「ハウルの動く城」に涙した。

 棒読みでへたくそだと言われている、木村拓哉のハウルの声に
 しびれた。
  宮崎駿の映画は、全く違う世界に連れて行ってくれるのでやは
 り好きである。
  結局「愛」である。愛がすべてを解決するというのはあまりに
 安易だと言われる方もあるかもしれない。
  けれども、日常生活の中でも自分を救ってくれるものはささ
 やかであろうとも人の愛だと私は信じている。

  自分を老婆にするまじないをかけた「荒れ地の魔女」にすら
 優しい手をさしのべるソフィー。
  自己犠牲なんて、なんのその。その人の役にたちたいという
 素直な思いは、やはりあたたかい。それも愛がなせる技か。

  そして印象的だったのは美しくありたいと願うハウルと
 「私は一度だって美しかったことはない」というソフィーの言葉だった。
  髪を思うように染められなくて癇癪を起こすハウルに妙なリアリティ
  を感じてしまった。

 
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by nokogirisou | 2004-11-23 17:42 | 日々のいろいろ

『森へ行く日』舟越桂作品集  

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 今は雨が降っているが、今日の朝は気持ちのよい青空
が見えていて、海沿いの道を愛車で走った。
 日曜日のため、ほとんどほかの車はおらず、本当に
気分良く走った。海は久しぶりに濃い蒼さ。冬の日本海なのだが。
帰り道、森の抜け道を通った。
 森の散歩道が近くにあるということは幸せなことだ。ここには
たくさんの鳥たちが住んでいて、夏にはさまざまな鳥の声があ
ふれ、彼らの落とした羽を拾うことができる。
 車をおいて、少しだけ森(といっても松と雑木だけなのだが)
を歩いた。空気が気持ちよい。
 唐突に舟越桂を思い出し、家に戻って本棚をさがしたら
 『森へ行く日』が見つかった。

 この作品集の中には森はない。「森へ行く日」という作品は白い
シャツを着た、もの思い風情の髪のない男の木彫像である。
 作家の大岡玲は自分のエッセイの中で
「生命の流動性と不安定さとを徹底的に肯定し続けること。彫像を
芸術にではなく生き物にすること、それが舟越桂の営為なのでは
ないか」
 と言っている。
 舟越のタイトルの付け方は、公募展のそれに比べて一層、詩的
で象徴的である。そして、じっと作品を見ているとタイトルと作品と
の関係は、それが必然のようにぴったり彼(彫像)の置かれた状況
を表現しているように見えてくる。
 「短い伝記をよんだ」
 「つばさを拡げる鳥がみえた」
 「かたい布はときどき話す」
 「積んである読みかけの本のように」 
 「風をためて」
 「届かなかった言葉の数」
 「渇きとスピード」
 「とぎれないささやき」
 一瞬をとらえたなまなましい表情が、大岡のいうように生き物に
しか見えなくなる。
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by nokogirisou | 2004-11-21 20:50 | アート

第33回芸展

 知人にチケットをいただいたので、今日から始まった芸展を見に行く。

   これは、新潟県美術家連盟と新潟日報社主催の公募展。
   今日は新潟市美術館の「洋画・彫刻」部門のみ。

 芸展は新潟で開催される公募展・会員展の中ではもっとも見応え
あり楽しめる展覧会だと私は思っている。

洋画はみな50号の大きな作品ばかり。
 テーマは多彩。新潟らしいモチーフも多々見られる。漁船、海岸、
漁師小屋、はさぎ、雪どけなど。
 ひとつひとつがとても丁寧に描かれていて、ひとつひとつ見るのに
時間が必要。
 
 廊下にもすでに沢山作品が掛けられているのだが、大展示室に
入って圧倒された。自分も何かをつくりたい、表現したいという素朴
な衝動に襲われた。みながら「あ、これこれ、この感じいいな」と
思える作品に出会えるととても幸せな気分になる。
作品は作者の心の投影なのだろうか。
 私はタイトルを読むのも好きだ。みな、緊張と思い入れを持って
タイトルをつけているに違いない。えりすぐりの言葉が並ぶ。作品と
ぴったりだと拍手を贈りたくなる。
 「太古からの誘い」「海を想う刻」「風になる」「風の日」
(「風の日」の青のグラデーションはとても素敵だった。)
 
 彫刻が予想以上に楽しかった。
 立体には立体の魅力がある。今年は災害の影響もあってか小さめ
の作品が多かったが、やさしいまなざしの彫塑や木彫が目立った。
 それぞれに存在感を感じる。
 
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by nokogirisou | 2004-11-20 21:51 | アート

モーツァルトで耳鳴り高血圧が治る!

 雑誌「爽快」1月号に、モーツァルトのCDがついているというので
つい購入してしまう。まず、この手の健康雑誌はこれまで買ったこと
がなかったのでrレジに持っていくことに抵抗があったが…。
 雑誌によると高血圧、リウマチ、不眠が消えたと大ブームなのだ
そうだ。
 モーツァルトは音楽療法の研究で注目されているらしい。「ゆらぎ」
と高周波が脳を刺激するという。
 (私自身は、胃が痛いとき、風邪をひいたときにはバッハが一番だと
思っている。入院したときにはバッハしか持っていかなかった。)
 埼玉医科大学短期大学教授の和合氏の実験によるとモーツァルト
を聴くと、コルチゾールというホルモンが減少するという。このホルモン
はストレスを受けることで分泌されるホルモンなのだそうだ。
 とにかくさまざまな不調に効果を出しているという例がたくさん書かれて
いた。

 さて、どんな曲が付録CDに入っているか…興味のあるところだ。

 まずはホルン協奏曲第1番ニ長調の第2楽章
 次はヴァイオリン協奏曲第5番イ長調の第3楽章
 そしてセレナード7番ニ長調第4楽章
 ピアノ協奏曲23番イ長調第3楽章
 最後が12のドイツ舞曲12番

 私の予想であたっていたのは、ピアノ協奏曲だけだった。
 いずれも長調。
 これらがどういう規準で選択されたのかは雑誌に説明がなかった。
 モーツァルトを聴くときはできるだけ他の音はシャットアウトして、
ヘッドホンなどで30分集中して聴くのがいいという。
 しかも「きっと効果がある」と信じて聴かないと効果がないという。
 
 ふーむ。20日の朝日新聞「BE」にも同じような記事が出ていた!
 すっかりモーツァルトブームである。
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by nokogirisou | 2004-11-19 21:45 | 音楽

『私の好きな世界の街』兼高かおる著

 「兼高かおる世界の旅」という番組がとても懐かしく感じられる。

 旅の醍醐味は実際に歩いて、食べて、語ることだと思うが
旅行記を読むのもまたひとつの楽しみである。
 私は海外への旅の経験はほとんどない。職場の研修で
台湾に行ったきり。以来ずっとパスポートを更新していない。
 お金と時間と勇気が不足しているが、海外への興味と関心
は衰えることはない。素朴な憧れにすぎないのだが。
 この本は世界の街が順不同に紹介されている。どこから
読んでもおもしろい。
 マラケシュやサルバドルなど私があまり知らなかった街の
面白いことといったらない。モロッコといえば映画『カサブラン
カ』くらいしか思いつかなかったので、ここに紹介されている
エキゾティズムは新鮮だった。ここはイスラム社会なのだ。
 それぞれの街のエッセンスが、読みやすく楽しく描かれて
いるが、筆者の筆がさえるのは食べ物の記述だと思う。
 筆者の身体は正直で「食べてはならないものにはアムステ
ルダムの水門のごとく喉がしまる」のだそうだ。この先天的
護身術のおかげで、世界各国元気に旅できるのだという。
 ロンドンの紹介には思いいれのある食べ物の紹介が多い。アフ
タヌーンティーの楽しみ方は期待通り。絶対自分も試してみ
たいと思ってしまう。そしてあのフィッシュダンドチップスも。
 パリは筆者の思い入れの強い街のようだ。取材初期の貧しい
頃のパリは楽しかったという。印象に残ったのは、筆者が偶然
パリの地下のバーで出会った、30年ぶりにパリを訪れた老人が
言ったという台詞。「少しも変わっていない。」
 「初めて見た光景やそこで聞いた音楽等々は自分にとって
初恋のようにいつまでも美しく残っている」という。
 最初の出会いを大事にしたい。 
 
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by nokogirisou | 2004-11-19 05:44 | 本と図書館