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「子どもの読書活動を考える国際シンポジウム」その2

「子どもの読書活動を考える国際シンポジウム」の話題のつづき。
 興味深かったのは、アメリカもフランスもドイツもそれぞれPISA
の結果に危機感を覚え、対策は政策を考えていることだった。読解力
の低下に慌てているのは日本だけではなかったのだ。

 アメリカの教育省によって示されたリテラシーに関する教育科学法
は5つの推奨点を挙げているが、これは日本も参考にできるのではな
いか。
 1)生徒が自身のゴールを設定するのを援助する
 2)生徒に洗濯を与えることによって学習のコントロールを共有
   させる。
 3)本からの学習における協働のセッティングをする。
 4)リテラシーを日常生活と関連づける。
 5)読書が世界を理解するのに役立つものとなるように学習内容
   のゴールを設定することを援助する。

 フランスでは読書を単に「本を読むこと」「娯楽として本を読むこと」
ではなくビジネスや、社会参加や生きる上で活用するために行うものだ
と強く考えられているのが特徴だ。そのためのスキルを学校で教える
必要があると考える。
 スキル1 テーマの妥当性を評価する。
 スキル2 情報の質と信頼性を評価する。
 スキル3 情報源全体を統合する。
 これらの高度なリテラシースキルを教えるためにリテラシープロ
グラムを実践する必要があると考えられ、実践が進んでいる。


 ドイツでは、15歳児のPISAの達成度が平均以下であったため
この10年で、読みの創造活動、読みの戦略活動が行われてきた。
 1)音読方法
 2)多読方法
 3)読みの戦略訓練
 4)読みの活動
 5)文学の授業
 この中で、ローズブロック博士は読みの流暢さを促進させる
 取り組みについて詳細に発表された。読みの流暢さが文章理解
を助けるという。読みの流暢さの促進のためにどのような方法を
とるかというと、多読法と音読法だった。「流暢な音読をタンデム
(ペア)で練習する」という方法がとても効果があるという。
協力しあうことで読みのモチベーションが高まり、確実に流暢に
音読できるようになるよいう報告があった。
 
 さて、日本は…。秋田先生、根本先生から具体的な報告があり
なるほどと思った。しかし施策はどうだろうか。

新学習指導要領の改訂のポイントによると「読書の指導については,
読書に親しみ,ものの見方,感じ方,考え方を広げたり深めたりする
ため,読書活動を内容に位置付ける。」とあり、日本の読書指導に対
する取り組みはまだまだ情緒的で甘い気がする。もっと丸ごと本を
読み、批評する力をつけていかないと、社会に出て使える読書力には
ならないのではないだろうか。
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by nokogirisou | 2012-03-29 02:17 | 本と図書館

「子どもの読書活動を考える国際シンポジウム」その1

 3月25日、THE GRAND HALLで開催された「子どもの
読書活動を考える国際シンポジウム」に参加してきた。
1つの収穫は、日頃はネット上でつがっている、アニマシオン
や、学校図書館関係の知人の多くに直接お会いできたことだ。
2つめの収穫は、アメリカ、フランス、ドイツの事例を伺うこ
とで、日本の読書教育の現状や国語教育のあり方を客観的に見
つめ直すことができたことだ。

 「読書」というと、日本では教養主義的な読書や、文芸書を
読む趣味的な読書をイメージされることが多いが、私たちは
もっと広い意味で使っている。「読書」は海外ではReading
と呼ばれ、さまざま場面で多様な対象の活字を読むことを指す。
今、なぜ「読書」が教育の現場で注目されているかというと
(実際の現場ではそんなに注目されていないのだが)やはり
読解力のなさが様々な教科の授業で支障をきたしていたり、そ
の後のキャリア形成や、人材育成の現場で悪影響を及ぼして
いたりするからのようだ。
 
 今日のキーワードは、スキル、モチベーション、コラボレー
ションだと受け取った。
 どこの国でも青少年の読書量、読書力の低下の問題は抱えて
いる。しかも楽しみとしての読書の時間もみな減っている。
 そして直接的な教員の教授(教員の介在)が読書の能力の
向上には欠かせないという研究結果が発表されていた。個人
にお任せ、ほったらかしではreadingの力はつかないのである。

 各国がそれぞれ青少年の読書に必要なスキル向上のための
プログラムを開発しており、取り組んでいる。そのようなプロ
グラムの実施にはモチベーションの維持が必須である。そして
日本では特に、司書と司書教諭、教諭のコラボ、そして生徒間
のコラボが重要になるのではないかと考えた。
 次号に続く。
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by nokogirisou | 2012-03-26 07:57 | 本と図書館

アニマシオンワークショップ2012春

 新潟でアニマシオンのワークショップを再開して三年目。
きいちごの会のみなさんと出会って、ずいぶん前進してきた。
毎年、夏と春にワークショップをきちんと続けてこられたのは
きいちごの会のみなさんの熱心さのおかげだ。

今回は、まず新潟大学の足立幸子先生に「教育現場でのアニマシ
オンの必要性」という演題でご講義いただき、戦後の学習指導要
領の変遷と読書指導史を追い、各国の「読書へのアニマシオン」の
様子を教えていただいた。
 その後、『ネコのタクシー』(南部和也 福音館書店)で作戦36
「物語ではそう言っている」、詩の作戦を行い、参加者に体験して
もらい、質疑応答を行った。作戦としてはどちらも楽しいものだった。
参加人数によって多少のカードの増減ができるように、準備しておか
ねばならない。カード作りが命である。
 それから、今年継続的にアニマシオンを行ってきた3校の小学校
での実戦の様子を発表していただき、受け入れ側の先生の感想を
伺った。今回の一番の目玉は、やはり継続的にアニマシオンを行う
ことで、児童の本の読み方が変わってきているというコメントが
あったことだ。またアニマシオンに参加する子どもたちの姿勢も
積極的になってきているそうだ。おおむね、児童たちにアニマシ
オンは好評であった。1年間だけでなく、年をまたいで、学年進行
とともにアニマシオンを継続していければ、なお効果があるのでは
ないかと考えている。来年度はぜひ、そのようなアニマシオン実施
をしていきたい。しかし学校という相手あっての実践なので、お呼
びがかかるまで、待っているしかない。そこが苦しいところ。

 最後はフリートーク。ほんぽーと中央図書館の職員のみなさん
からも感想、ご意見をいただいた。
 
 さて、来年度の活動にむけて、さらに図書を探し、作戦の開発を
進めて行かなければ…。
 
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by nokogirisou | 2012-03-13 00:27 | 本と図書館

絵本講座「絵本再発見 絵本を見る眼を鍛える」第四回

 あっという間に第4回となった。今回のテーマは「科学絵本」。
 科学絵本とは子どもが自然を楽しむ絵本だ。
 今日講師の若佐久美子さんはレイチェル・カーソンの話から
スタートさせた。
『センス・オブ・ワンダー』(レイチェル・カーソン)の中の
「わたしは、子どもにとっても、どのように子どもを教育すべき
か頭を悩ませている親にとっても、『知る』ことは『感じる』こ
との半分も重要ではないと固く信じています。」という言葉に
圧倒された。最近の私たちの生活の中では、感覚や感性よりも
知性や理性や知識の方が重視されている場面が多いように感じて
息苦しかったので、感性の重要さを訴える、レイチェルの言葉
はうれしかった。でも、私たちは実際、どれほど五感を解き放っ
て自然と接しているだろうか。好奇心を解放しているだろうか。
 自分が小さいときや、子どもが小さいときは五感を解放して
いられても、大人の多忙な生活にどっぷりと浸ってしまうと
みずみずしい感性はひからびがちである。
 科学絵本に求められるのは、子どもたちの感性に訴えかける
写実性だ。「命があるから命があるように」描かれた絵本でな
けれでばならない。子どもたちは、絵本を見て現実の生活に戻
り、また絵本を見て、現実に戻る。
 バージニア・リー・バートン『ちいさいおうち』が科学絵本
の仲間に入っていたので、ちょっと驚きだったが、説明をうけ
てなるほどと思った。主人公は家。このちいさいおうちの
一日が描かれ、ひと月が描かれ、四季が描かれ、そして何年も
たって、周りの環境が変わって都市化していく様子が描かれる。
そして最後、このおうちは田舎にひっこしをする。
 その他、『くだもの』『ねっこ』の平山和子や、身体のこと
を多数絵本にしている柳生弦一郎、『ざっそう』『ちいさな生
き物たちの不思議なくらし』の甲斐信枝などが紹介された。 
 「科学絵本」とはいっても、図鑑とはちがう。ものがたりに
なっていて、子どもたちの好奇心を刺激しどれも楽しい。
 
 最後は、絵本を読み聞かせをする際の注意点を語られた。
とにかく、読む側は絵本を読み込まなくてはならないという
ことだ。子どもたちに聞かせるのだから、それなりの確固と
した読みを持っていなくてはならない。練習あるのみなのだ。
 若佐さんのお話はぶれない。しっかりとした批評眼があり
信頼できると感じた。私も自分自身で読み、自分で考え、絵
本を評価できるようになりたい。
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by nokogirisou | 2012-03-12 00:07 | 本と図書館

ラ・フォル・ジュルネ新潟2012

ラ・フォル・ジュルネ・新潟2012が楽しみだ。3月24日よりチケット販売になる。今年のテーマは「サクル・リュス」ロシア音楽を楽しめるお祭りとなる。各ホールの名前がロシアの文化人の名前になっている。
たとえば、りゅーとぴあコンサートホールが「プーシキン」劇場が「ドストエフスキー」
などという具合だ。
 今一番楽しみなのは、横坂源のチェロとムジカ・ヴィーアによるチャイコフスキー、
「ロココ風の主題による変奏曲」とアレクサンドル・ルーティンの指揮とチェロ、
ムジカ・ヴィーアによる「ロココ風の主題による変奏曲」を聞き比べられること。
この曲は以前から好きで、小澤征爾指揮、ボストン響とロストロポーヴィチの演奏
のCDで楽しんできた。ぜひ生で聞いてみたい。
 それから、ボリス・ベレゾフスキーのラフマニノフのピアノソナタも第1番も聞い
てみたい。
 一日まるまる音楽を生で楽しめたら、それはそれですてきだろう。
 日頃、時間でばたばた追われてコンサートホールに赴き、帰る時間を気にしている
ので、一日、りゅーとぴあに滞在して音楽を聴きたい。これからチケット購入の
計画をたてよう。 
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by nokogirisou | 2012-03-11 23:33 | 音楽