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イエスタディ  村上春樹

  「文藝春秋」の12月号に「ドライブ マイ カー」という短編が
掲載されたが、今月の「文芸春秋」にも「イエスタディ」という短編
が掲載されていた。「女のいない男たち2」とあったので短編連作
らしい。2か月も連続で月刊誌を購入してしまった。

 愛し合っていても結ばれることのない恋愛がテーマなのだが
繰り返し村上が描いているテーマであることに気づく。そして
やはりここには、男の友情が絡んでくる。いや、前半は僕と木樽と
の関係を中心に描きながら、後半一気に木樽とえりかの関係が
浮かび上がってくる。
 村上の描く男と女は、あまりにも精神的に結びつきが強すぎる
と肉体的に結ばれにくい。互いを大事に思うがゆえに、離れ離れ
になることが多い。
 そして、この小説のおもしろみは、関西と関東の文化の対比
がところどころ登場することろだろうか。
 関西の文化を後天的に本格的に学ぶというのは興味深いこと
かもしれないと思った。過去にそれを試みた文学者は存在する。
私にとっては、関東の文化以上に関西の文化は異文化である。
この年になってもしらない関西について知らないことがあまりに
多いことに驚く。
 この小説のタイトルのつけ方は短編小説的で一見わかりやす
く、実は意味深だ。「イエスタディ」。
 いかにも村上春樹的な短編だという印象を受けた。
 
 
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by nokogirisou | 2013-12-30 22:56 | 本と図書館

『天翔る』村山由佳著 講談社

  「人の与えた名前から解き放たれて、駆ける。
  馬という名の束縛からも自由になって、駆ける。
  その自由すらも軽々とふりすてて、駆ける。
  ただ命の弾丸となって、駆ける。
  一瞬を永遠に変え、
  永遠を一瞬に凝縮し、
  駆ける。
  駆ける。


  天 翔る。」
 エピローグの最後にある、詩のような部分が
なぜここにあるのだろうとしばrく考えた。

 この本は、読み始めたら止まらずに一気に読めた。
乗馬についても、馬についても全くわからないのに
気にならずに本の世界に入れたことはありがたかった。

 馬にかかわって、回復し、成長し、変化しながら
再生の可能性を感じさせるく物語だ。一筋縄でいかない
ところ、群像とし て登場人物が描かれているところに
リアリティを感じた。
 さまざまな出来事が絡み合い、一つ一つがきれいに解決
していかないところもリアリティがある。
  来年は午年だ。年末に読むにふさわしい一冊か。
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by nokogirisou | 2013-12-27 01:14 | 本と図書館

足立幸子先生とリブロの渡辺肇さんの講演

 今日は平成25年度新潟県高等学校教育研究会図書館部会講演会
だった。
 午前は新潟大学教育学部の足立幸子先生の講演。
演題は「海外の学校図書館事情と高校における読書教育」
足立先生がこれまで視察してこられた、アメリカ、オーストラリア、
フランスの学校図書館の様子が紹介された。

 アメリカとオーストラリアは似た状況にあるという。学級文庫が
充実し児童生徒の読書活動をバックアップし、図書館はデータ
ベースや雑誌が豊富に準備され、探究学習をバックアップする。
また図書館は成果物の作成をサポートし、その発表の場にも
なっている。学校図書館のスタッフは複数おり、さまざまな立場
の人がかかわっている。
 フランスは、ドキュマンタリスト教員が図書館におり、生徒たちの
探究学習を支えている。ドキュマンタリスト教員は単独では授業を
もっていない。バカロレアなどの学校卒業試験の受験や、個別学習
のために、生徒たちが必然的に学校図書館を使わねばならない状
況が作られている。しかし情報教育の面ではアメリカやオーストラリ
アに遅れているそうだ。一方図書館で作家のワークショップや文学的
コンクールを行い、文学が芸術の研究がさかんに行われているという。

 欧米文化圏の学校図書館は、読書の場というよりも学習の場であ
るという印象を受けた。職員も生徒も学校図書館を利用しなければ
授業にならないという切迫した環境があるところが興味深かった。
日本では、図書館を使った授業はまだオプションだ。

 それから、日本の中学生、高校生の読書調査の結果が紹介され
最後に日本の高校における読書教育のアイディアが提案された。
いずれも、現場でできそうな感じで、ためしてみたくなる。

 1、パートナー読書
   パートナーとな時本を選んで読み、交流する。
 2、三冊レポート
  テーマを決めにそれに関する三冊の本の点検読書を行い
  レポートする。奥付、目次、はじめに、おわりに、索引、文献
  入り欄、著者紹介を読んで、それが読むに足る本か点検する。

 3、Iチャート

 4、KWR

  3、4はいずれも複数の資料にあたって情報をたばねていく読書法

 5、作家・ジャンル研究

 午後は、株式会社リブロの商銀部兼事業開発室の渡辺肇さんの講演。
「お客様に本を手にとってもらうために書店が行っていること」

 まずはリブロの歩みの紹介。それから出版物の販売金額の推移、
書籍と雑誌の販売金額の推移、ネット通販の拡大、書店数の推移
など、書店をめぐる厳しい状況が、数字、グラフで示された。
 予想はしていたが、右下がりの現状にため息が出る。
 
 次に書店の分類。ナショナルチェーン、リージョナルチェーン、
個人書店、オンリーワンジャンル書店、話題の書店などが紹介
された。

 書店にとって「棚が命」という言葉が印象的だった。売れるため
にどう棚づくりをするか、書店員の腕の見せ所である。棚は書店
ごとの思想が反映する場所なのである。
 
 陳列棚は世の中のトレンドを敏感に察知し情報発信する場である。
多様な情報を得て、それを棚に生かすことが求められている。
季節のモチベーションを計画的に実施し、全社や個別店舗でテーマ
を決め、独自フェアを実施し、VMD手法を駆使して、いかに本を見せ
て販促するか勝負している。
 棚作り以外にも、イベントを企画して、お客さんに店舗に足を運んで
もらう工夫を行っている。
 やはり、書店は売ってなんぼの世界である。実績第一主義なのが
よく伝わってきた。そして書店は文化の担い手であるという自負が
あることも伝わってきた。

 書店は今後、店舗数は減っていくだろうが、複合化や他業種参入
書店刊の統廃合が進んでいくだろう。つまり、どんどん書店も進化
が求められているのだ。
  
  
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by nokogirisou | 2013-12-26 21:41 | 本と図書館

大きい人のためのおはなし会

  新潟市の野いちご文庫では、毎週土曜日、子どもたちのために
おはなし会を行い本の貸し出しをしている。元豊栄図書館長の
若佐久美子さんが自宅の2階で開いている文庫だ。階段を
のぼっていくと、かわいいものがずらりとならんでいてわくわく
する。お部屋に到着すると壁ぎわの本棚にぎっしり子どもの本
が並んでいる。魅力的な木のベンチとテーブルがどーんとあって
文庫の雰囲気をもりあげている。
 通常のおはなし会のほかに、小さいひと(乳幼児)のための
おはなし会と大きい人(大人)のためのおはなし会もときどき開か
れる。
 12月21日に121回大きい人のためのおはなし会があり、久し
ぶりにお邪魔した。部屋にはクリスマスツリーにろうそくがあり、
なつかしい気持ちになった。

 プログラム
1 犬と猫とうろこ玉 『おはなしのろうそく15』東京こども図書館
2 棟の木かざり   『年とったばあやのお話かご』
            エリナー・フュージョン作 石井桃子訳 岩波書店

3 ボルカの冒険 E・M・アルメディゲン作 小林いずみ訳
            『おはなしのろうそく29』東京子ども図書館
4 十二のつきのおくりもの
            『おはなしのろうそく2』東京子ども図書館

5 聖なる夜   『キリスト伝説集』(岩波文庫)
           ラーゲルレーヴ作
           イシガ オサム 訳

  ろうそくをつけておはなし会がはじまる。スタッフが順番にいすに
すわって素語りをする。
 絵本のよみきかせとは違う。想像力の世界にあそぶことができる。
耳から入った言葉が私のあたまの中でストーリーを展開する。
雪の色や音やにおいまでつたわってくる。
 人にかたってもらうということが、こんなに心地よいものだったかと
改めて思う。
 きっとみんないいおはなしといい語り手だったのだと思う。
クリスマスの楽しい時間をすごした子どものようにるんるんと家に帰
ってきた。
 
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by nokogirisou | 2013-12-21 20:28 | 本と図書館

「北のカナリアたち」

  劇場で見たかったのだが、ようやくテレビで見ることができた。

 見終わったときに、「観てよかった」と思える作品だった。これは
この作品を紹介してくれた友人も言っていた言葉だが、本当に
そう思った。
 この作品をひとことで言いまとめることはできない。この作品
の中に時間の経過があり、多くの人生が絡み合っているからだ。
 
 記憶していること、思い出すこと、そしてそれを時間の経過の
おかげで言語化できること。だれかの存在がだれたかの「生きる」
を支えていることなどを感じて、涙を止められなかった。

 毎日の日々、傷を負いながらも、なんとか生きている私たち。
だれかが見ていてくれるから、だれかが、信じてくれるから、
だれかが、声をかけてくれるから、私たちは「それでも生きよう」
と思えるのかもしれない。人と人との結びつきを、やはり信じて
いいのだ…と思わせてくれる作品だった。

 そして、吉永小百合は、やっぱり素敵だった。
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by nokogirisou | 2013-12-16 00:56 | 映画

キャラメルボックス新潟公演

 11月29日、30日とキャラメルボックスが10年ぶりに、新潟市のりゅーとびあで公演を行った。私は30日の千秋楽のチケットをとった。
 「Ultra Marine Blue Christmas」はなかなかよくできたお芝居で2時間ちょと笑いに涙に、心動かされる観劇の時間を過ごすことができた。ホンがよいし、構成もよくできていた。今回は、二つのストーリーと結末がある。私が見たのはシリウスストーリー。プロキオンストーリーも見て見たかった。
笑いは、台詞に反応して生まれるが、涙は、複雑な絡み合いによって、思いがけないところで流れた。
キャラメルボックスの劇団としての伝統と、独特のサービスが、観客の心をつかむ。演じ方はもちろんだが、公演のサービスの仕方も劇団によって、違うものだなあと改めて思う。


キャラメルボックスの公演では開演前に前説がある。
新潟ネタがたくさんあり、ここでも笑わせてもらった。東京からのバスツアー参加者は70名を超えたという。しかし残り三階までの客席を埋めたのは新潟の客だ。今回は、早めに劇場に着いたが、すでにホワイエは満員だった。こんなに新潟にキャラメルファンがいるとはおどろく。その年代も様々で、老若男女が一堂に会していた。


 イッシーこと石原善暢さんはアクサ・ダイレクトのCMに出演しているので、台詞もそれを反映していて、笑ってしまった。カーテンコールでは、石原さんはいきなり、アクサのコマーシャルのせりふで登場し、千秋楽の三本締めをやってくれくれた。


 千秋楽だったため、クリスマスプレゼントのキャラメルキャラメルを観客一人一人に手渡ししてくれたことも感動した。私は西川さんから、手渡してもらう。さきほどまでの舞台の上の雰囲気とあまりに違ってこれもまたおもしろかった。
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by nokogirisou | 2013-12-05 19:10 | 日々のいろいろ