<   2014年 06月 ( 3 )   > この月の画像一覧

茨木のり子ふたたび

世田谷文学館で茨木のり子展をやっている。
昨日と今日は、沢知恵のコンサートまであり、とても
行きたかったのだが、すでに予定が入っていてやむなく断念した。
 人生には、思い立ってできることと、やむなく諦めばならぬことがある。
本当に悔やまれる。沢さんのコンサートは聴きたかった。しかしまたいつか
チャンスがめぐってくるだろう。
 茨木が亡くなったあと平成22年に高崎にある群馬県立土屋文明文学館で
開催された「茨木のり子展~わたしが一番きれいだったとき~」には行った。
あれも夏のことだった。たまたま新聞で開催を知り、一人思い立って新幹線
に乗って出かけたのだった。館内はひっそりとしており、茨木のり子の詩の
言葉と人生があふれていた。あそこで初めて知った詩もあった。茨木のり子
と新潟のつながりを知った後だったので、その手がかりがないかと探したが、
その展覧会では見つけられなかった。
とにかく「Yの箱」と茨木のり子自身の詩の朗読が印象に残ったことを覚えて
いる。彼女の夫への愛の深さに打たれた。
 その後、バス停でなかなか来ないバスを待っているときに初老の女性が
話しかけてきた。「私の娘が、心を病んだときに、茨木さんの詩に救われ
たのです。それで、今日は私が娘の代わりお礼にきたのです」
なんと答えていいのかわからず「そうでしたか」と返したのだが、その後
バスが来るまでしばらく茨木の残した詩のことを語り合ったのだった。
それもまた貴重な時間のように思われた。
 最近、谷川俊太郎選の文庫の『茨木のり子詩集』が出て、読み返している。
読み返したい詩を書いたこの詩人に敬意を抱いてやまない。
[PR]
by nokogirisou | 2014-06-22 10:12 | 日々のいろいろ

新潟市北書店

北書店に行ってきた。
先日上京して、何軒か個性的な書店を回って刺激を受けてきたが、
新潟で気になる書店はやはり北書店だろう。職場近くにあるのに、訪れるのは3回目。
 今回、ゆっくり眺めてみて、びびっときた。やはり棚作りがすごい。食指の動く棚なのだ。
そして、新潟への愛を感じる棚が多かった。これは通いたいお店だと思った。
 ネット書店の隆盛、電子図書の登場と町の本やさんにとっては厳しい時代だが、だから
こそ、書店が生き残りをかけて本気になっており、魅力的な書店が増えているように思う。
もちろんそうでないとやっていけないからだろうが。ただ新刊をたくさん並べていれば売れる
時代ではないのだ。本が雑貨化しているというか、どのように演出して、個性的な本を売るか
が勝負になっている。だから書店にとっても選書と場面づくりと並べ方が重要になっている。
 北書店はひと箱古本市を開催したり、お店にゲストを読んで講演やイベントを行ったりして
お客さんとのコミュニケーションを重視している。
 店主の佐藤さんは、決して愛想がいいという感じではないが、ただものではないという目の
光をもっておられた。もうちょっと通って、常連になってから、ぜひお話をしてみたいと思った。 
[PR]
by nokogirisou | 2014-06-12 01:59 | 本と図書館

本の絵を描くしごと

 アニマシオン読書教育セミナーの講演会で、童画家のさとうあやさんの講演を
聴きにいった。
さとうさんは『ネコのタクシー』(福音館書店)『バレエをおどりたかった馬』
(福音館書店)の挿絵を描いている。どちらの絵も「へたうま」だなと思いながら
好感を抱いていた。

 正直に言えば、聞くまではそれほどお話の内容にあまり期待していなかった。
しかし、聴いているうちに引き付けられた。それは彼女が芸術家の目とプロ意識
をもっていたからだ。おっとりとした雰囲気なのに、自分の好きなこと、自分の
スタイルをとことん追求する姿勢はかっこよかった。

 彼女は、運命的に福音館の編集者に出会い、編集者に送った年賀状の絵を
きっかけに子どもの本の挿絵や絵本の絵を描くようになったそうだ。
 彼女は子どものときから油絵を描く父親に見守られながら、のびのびと絵
を描き続けてきたという。床に模造紙をしいて常に絵を描いていたそうだ。
絵画教室にも通い、『キンダーーブック』を定期購読する子どもだった。
絵だけでなく、詩や文章を書くのも好きだったという。彼女は子どものとき
に好きだった絵本をはっきり記憶していた。自分は大人になったら漠然と絵
を描く人になるのだろうなと信じていたという。

 子どもの本の絵を描く過程は想像以上に複雑だった。まず作品のどの部分に
挿絵を描くのか決める。決めるのは編集者でなく、作品本文を読みこんだ
さとうさんだ。本文を読むと、すでに映像としてイメージが浮かぶのだそう
だが、その中からどこを描いたら一番楽しいかを考え、場面を選ぶ。それから
ラフスケッチを何度も描く。
 イメージをつかむために海外に取材に行くこともある。フランス田舎の村
滞在のお話は印象深かった。
 『セロ弾きのゴーシュ』の絵のときは、編集者と作品追究し、一度書き上
げたものを描き直すという作業があったそうだ。編集者の仕事の偉大さについ
ても語ってくださった。
 
 さとうさんが好きな画家は長新太さんだという。その自由さと、普遍的な
世界観に惹かれるのだそうだ。彼女自身の絵もまた、普遍性を感じさせる。
書き込みすぎない。リアリティを求めすぎない。緩い。わざとすきまをつくっ
ている。自分の描きたいものに忠実だ感じる。
 
 
[PR]
by nokogirisou | 2014-06-09 02:49 | 本と図書館