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リーディング・ワークショップの授業

 11月18日、筑波大学附属駒場中学・高等学校の第44回教育研究会に参加した。
 澤田教諭の「中等教育国語科への個別自由読書の導入」のリーディング・ワーク
ショップの授業を見学した。
 私がこの授業をどうしても見学したいと思ったのは、『リーディング・ワークシ
ョップー「読む」ことが好きになる教え方・学び方』(ルーシー・カルキンズ著 
吉田新一郎・小坂敦子訳)を読んで、日本の高校生に対してもリーディング・ワー
クショップを実践したいと考えたからだ。
 これまでの私自身の取り組みは、「朝の読書」という「毎日読む・みんなで読む
・好きな本でよい・ただ読むだけ」の実践と、授業の最初の10分間読書と、「新
書の点検読書」である。前の2つは、選書に関して生徒に任せるが、読ませ
っぱなしが多かった。たまに読んだ本の中から3冊選んでブックトークさせ
ることもあったが、あくまで「たまに」だった。「新書の点検読書」はこち
らが選んだ20~40タイトルの新書の中から生徒が選書して読んで、レポ
ートするといったものだった。まったくの自由読書の授業は経験がない。
 「リーディング・ワークショップ」はミニ・レッスンやカンファレンスと
いう教員の働きかけがあり、仲間との共有や記録という活動もある。
 澤田教諭がリーディング・ワークショップを取り入れたのは、高校生の不読
率の高さを、学力形成の上からも、人生における有益さからも問題だと考えた
からである。特に読書量と語彙獲得の相関関係に注目し、生徒の読む力や読書
家としての姿勢を向上させたいと考えた。
 澤田教諭の目指す生徒像は、①読むことを人生を豊かにする手段にできる人
 ②よい文章の可能性を認められる人である。そこで、自分の意志で本を選ぶ、
自分の意志で本を読むことを最大限重視している。これは勇気のいることである。
生徒を信じなければできない。私のこれまでの価値観では、授業で読書を取り上
げる以上は、全員に同じようなレベルの本を同じくらいの量読ませなければなら
ないと思っていた。本を自由に選択させるにしてもジャンルを絞った方がいいと
考えていた。
 しかし、今回授業を見学し、本を読む目的も読む本も、読み方も生徒自身に任
せることのすばらしさを実感した。生徒は、リーディング・ワークショップでや
りたいことを決め、その理由を書く。そして本を選ぶ。これはやはり、簡単なこ
とではなかったようだ。筑波駒場の生徒でさえも、最初はなかなか読書を通して
何をしたいか、どんな本を読みたいか、選べなかったそうである。しかし週に2回
続けているうちに自然にできるようになっていったという。選書には授業者と司書
2人が支援することもある。あくまで薦めるが強要しない。
 生徒たちにインタビューする機会があったが、どの生徒も読書を肯定的に考えて
おり、価値を認めている。それぞれ自分なりの基準で本を選ぶことに喜びを感じて
いた。読んでいる本もその目的も実に多様であった。ジャンルを教師が恣意的に絞
らない方がいいことを私は痛感した。
 澤田教諭は、高校生の読む力の格差は大きく開いており、共通教材でこれに対応
するのは難しいという。しかし、現実に共通教材を手放すのは難しい。共通教材の
読み方を伝授するのが、これまでの国語授業の常であった。それをしないのである。
40人の生徒が自分で選んだ本を読み、それに対して教師がコミットし、カンファ
レンスしていくとなると、40人分の教材について教師はやはり把握しなければな
らないのだ。
 今日は澤田教諭は自由読書をしている16人の生徒に声をかけ、カンファランス
を行っていた。そこで次の本の薦めを行ったり、読んだ内容について確認したり、
進捗状況を報告させたりしていた。その語りかけや聞き取りの声は優しく、とて
も静かであることが印象的だった。押し付けや強要がまったくない。
 30分の読書ののち、3人グループで生徒たちは今日の読書を共有する。短い
時間である。その後、各自の読書記録用紙にまとめる。人に話した後で書くと
いう順番も重要だと思う。彼らは話しながら発見をし、よりよく書けるように
なっている。とにかく本について語る彼らの語彙の豊かさ、要約力の見事さに
脱帽である。いっぱしの読書家だった。

 新潟大学の足立幸子先生が助言されていた。日本のこれまでの読書教育は
全員が同じものを読んで同じゴールを目指すものだった。日本の子どもたち
には自分で選ぶという能力が欠けている。ミニレッスンを行ったり、「自分
の読書を考える参考にしよう」(吉田新一郎『よく読める読み手が共通にも
っているスキルとは…』を記録用紙の裏に印刷してあったりすることは、生
徒たちが自分の読書生活を振り返るうえで有効である。
 またリーディング・ワークショップの授業を成功させているのは、教師が
生徒の読
みそうな本を予想して沢山読むことだとも言われていた。この授業をするに
は、教師がたくさんの本を読んで準備する必要がある。

 さて、これを私が実践するとしたら、どこに困るだろうか。それは、一緒
に授業をする他の教員に理解してもらうことだ。共通テストを行っている以
上、教科書の進度をどうそろえるかという問題もある。
 さらに評価だ。澤田教諭は読書の量や内容ではなく、カンファレンスの内
容と提出物を出したかどうかで、ざっくり評価しているという。もう少し、
丁寧に評価したいが、教師一人が、40人分の読書量と内容の看取りは無理
だ。
 今の学校文化の中でリーディング・ワークショップを取り入れるとなると、
特別編成授業のときや、考査後などの余裕のあるときに、オプション的に行
うしかないだろう。学校全体で授業観を共有していかないとレギュラー授業
にはとりいれられないだろう。ここが私が今後実践する上での課題である。
 

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by nokogirisou | 2017-11-19 01:14 | 本と図書館

鍵冨弦太郎秋のアンサンブル

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鍵冨弦太郎の演奏会に行った。今回はピアノに小澤佳永さん、オーボエに若山健太さんを迎える。
プログラムが素晴らしく、MCがわかりやすく、演奏が魅力的で、集中して聴くことができた。

第一部
グラナドス ヴァイオリンソナタ 未完
スヴェンセン ロマンス
メンデルスゾーン ソナタへ長調 1838

第2部
テレマン ふたつの楽器のための6つのカノンから
バッハ オーボエとヴァイオリンのための協奏曲
二短調BWV1060

グラナドスのソナタとスヴェンセンのロマンスは初めて聴いたが、メロディが美しく、素敵な今日だった。澄み渡るようなイメージと、鍵冨さんが言っていたが、聴いていて本当に心が晴れ渡る。
作曲家の人生の話や、曲についての説明が、ちょうどよく私たちを音楽の世界に誘ってくれた。新たな曲との出会いはうれしい。この曲を弾きたい、という演奏者の気持ちが伝わってくる、自信と愛に溢れる演奏であった。






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by nokogirisou | 2017-11-04 21:32 | 音楽

あららふあんたじーか!?

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11月2日のりゅーとぴあスタジオAでは、4人のプレイヤーと2人のパフォーマーによる不思議な会が催されていた。昨年も伊奈るり子さんのお誘いで、この会に参加したが、あの沈黙と爆笑がまた返ってきた。

今年は、I部は、神話をテーマにソロとパフォーマンス、
II部はお酒にまつわるたくさんの曲のアンサンブルとパフォーマンスだった。
選曲とアレンジが楽しいのである。
Ⅰ部
シランクス ドビュッシー
ライト イン ダークネス エベリン・グレニー
自由神 川崎祥子
天岩戸 瑠璃丸

Ⅱ部
テキーラ
酒とバラの日々
ウイスキーがお好きでしょ
スウィートメモリーズ
美味しい水
茶色の小瓶
Volare

クラリネット吹きの伊奈さんも、ユーフォルビアの川崎祥子さん、一橋靖子さん、本間美恵子さん、みなさんとても楽しそうに楽器を演奏する。

四ツ谷ハウスというユニットのパフォーマンスとは、肉体派ダンスなのだ。これはとても奇妙なダンスなのだが、ブロ的な肉体の動きは見事だ。私個人としては、音楽だけで十分なのだが、みなさんは、音楽とパフォーマンスのコラボを楽しんでいた。



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by nokogirisou | 2017-11-03 15:32 | 音楽